同じようだと思う方が多いでしょうが、平等は「偏り・差別がなくそれぞれの特性や能力を全く考慮しないこと」、公平は「特性や能力を考慮した上で同等に扱うこと」で、意味が異なります。
今年4月、改正障害者差別解消法が施行されました。障害者の特性や困りごとに合わせてそれを解消するために支援する「合理的配慮」が、国や地方自治体だけでなく企業や店舗にも義務付けられました。
こう聞くと、最近交流サイト(SNS)上で話題になった件を思い浮かべてマイナスの感情を持つ人もいるかもしれません。しかしこの合理的配慮は、障害の有無に関係なく尊重し合う共生社会を実現させることを目的としています。今回の改正法の内容を見ると、「公平」にするために「合理的配慮」が必要なのだと分かります。
障害者である私自身、小学校から現在までの学生生活において、「公平」ではなく「平等」の扱いをされることが少なくありませんでした。理不尽な扱いをされたこともありました。日本の学校教育自体がまだまだ「平等」を念頭に置いたものになっているからだと、今の私は捉えています。
学生生活で、私の障害を理解し配慮してくれる方もいました。エレベーターや手すりの設置のほか、木材でスロープを作っていただいたこともありました。簡易的なスロープや手すりは、大がかりなリフォームよりも安い価格で購入することができます。お金や手間をかけなくても、あるいは大企業ではなく個人でも、できることはたくさんあります。
前回(4月2日付)取り上げた障害者駐車場やトイレは、必要な人がちゃんと使えるようにマナーを守ったり、扉の開閉を手伝ったりできます。他にも、表示を視覚障害者用に大きな文字にしたり、点字ブロックが敷かれた通路はそのスペースをきちんと確保したり、聴覚障害の人との会話では手話ができなくても口を大きくゆっくり動かしたり、簡単にできることはまだまだあります。
日本の人口のうち、障害者は7%以上です。決して少なくはありませんし、あなたも明日から障害を持つかもしれません。障害に応じてどんな配慮の方法があるのか、インターネットで調べるとさまざま出てきます。
世の中はいろいろな人がいるから面白いのです。いろいろな人と共生するためにも、声を上げたことに対して批判したり揚げ足を取ったり、「前例がない」「特別扱いはできない」などと拒絶するのではなく、一つの意見として耳を傾けることから始めませんか。自分には何ができるだろうと考え、寄り添ってもらえませんか。
今回の改正法が「絵に描いた餅」にならないように願います。

【略歴】2022年に始めたSNSの総フォロワー数14万人。大学生でモデルとしても活動。23年3月に個人事務所兼福祉用品の開発などを手がける会社「Mary」設立。
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