デフサッカーの日本男子育成選抜を指導する森保洋監督(中央)=2026年5月6日、大阪府泉南市(いずれも寺田康介撮影)

もう一つの「森保ジャパン」が世界へ挑む 弟・洋氏率いるデフサッカーU23日本育成選抜

2026/5/11 12:00
田中 一毅

デフサッカーの日本男子育成選抜を指導する森保洋監督(中央)=2026年5月6日、大阪府泉南市(いずれも寺田康介撮影)

デフサッカーの日本男子育成選抜を指導する森保洋監督(中央)=2026年5月6日、大阪府泉南市(いずれも寺田康介撮影)


聴覚に障害がある選手らがプレーするU23(23歳以下)世界ろう者サッカー選手権大会が11日、セルビアで開幕する。国際大会に初めて参加するデフサッカーの日本男子育成選抜を率いるのが森保洋監督(54)だ。6月開幕のワールドカップ(W杯)北中米3カ国大会に出場する日本代表、森保一監督(57)の弟でもある指揮官は「(W杯の)前哨戦と思っている。僕らが先に世界一を取りたい」と意気込む。

森保監督は佐賀や長崎などで育ち、小学生の頃に兄の影響でサッカーを始めた。兄も通った長崎日大高を卒業後はJ2サガン鳥栖などでプレーし、2000年に現役引退。その後は鳥栖のU-18監督などを経て、16年から当時J2だったV・ファーレン長崎でアカデミーダイレクターなどを歴任し、現在は今季8年ぶりにJ1で戦う同クラブの「ヘッドオブ・プレ・アカデミー」として下部組織のコーチを指導している。

監督就任の打診を受けたのは昨年12月ごろ。すぐに東京で前月開催された聴覚障害者の国際スポーツ大会「デフリンピック」で銀メダルを獲得した男子日本代表の試合をインターネット動画で視聴した。デフサッカーは未知の競技だったが、ハンディを感じさせないプレー、「世界一を取りたい」という選手たちの言葉に心を突き動かされた。

デフサッカーの日本男子育成選抜を指導する森保洋監督(右)。ミーティングでは手話通訳者(左)を介して指示を伝える=2026年5月6日、大阪府泉南市(寺田康介撮影)

デフサッカーの日本男子育成選抜を指導する森保洋監督(右)。ミーティングでは手話通訳者(左)を介して指示を伝える=2026年5月6日、大阪府泉南市(寺田康介撮影)

 

今年3月からチームの指揮を執っているが、自身が経験してきた指導とは「全然違う」と明かす。デフサッカーは人数や試合時間など基本的なルールは通常のサッカーと同じ。ただ、プレー中は補聴器を外すことが義務付けられ、主審は旗と笛の両方を使って合図する。選手たちは試合中、手話や視線でコミュニケーションを取っている。

試合でも練習でも、監督が声を張り上げて細かく指示することは難しい。それゆえ、ルールや意図を前もって伝えているほか、ミーティングでは手話通訳や字幕付きのプロジェクターを駆使するなど、試行錯誤しながら指導している。「選手たちの集中力、サッカーにひたむきに取り組む姿勢に感銘を受けた」とやりがいも感じている。

デフサッカーの「U23W杯」と呼ばれる今大会には9チームが参加。東京デフリンピックでフル代表のメダル獲得に貢献したGK則末遼斗(のりすえりょうと)主将(21)は「歴史の一ページを刻む大会。いい結果を残して次につなげたい」と力を込める。現在、世界ランク1位のフル代表のゴールマウスを守る責任感から「重圧もあるけど、チャレンジャーとして優勝を目指す」ときっぱり。個人の目標に「全試合無失点」を掲げた。

U23世界ろう者サッカー選手権大会へ向け、トレーニングに励む選手ら=2026年4月6日、大阪府泉南市(寺田康介撮影)

U23世界ろう者サッカー選手権大会へ向け、トレーニングに励む選手ら=2026年4月6日、大阪府泉南市(寺田康介撮影)


5月5~8日に大阪府内で最終合宿を行った森保監督は「規律を持って戦えるメンバーが集まった。組織的な守備もできてきた。あとは球際の強さ」と手応えを口にする。選手たちは自費で今大会に参加していることもあり、「結果を出してデフサッカーの価値を上げたい。そのためにできることは全てやりたい」。

決勝は23日の予定。もう一つの「森保ジャパン」が〝本家〟より一足先に世界を驚かせる。(田中一毅)

 

記事のポイント! 

聴覚障害のある選手たちが出場するU23世界ろう者サッカー選手権大会に、日本男子育成選抜が初めて挑みます。チームを率いるのは、サッカー日本代表・森保一監督の弟である森保洋監督です。通常のサッカーと同じルールで行われる一方、試合中は補聴器を外す必要があり、選手たちは手話や視線を使って意思疎通を図ります。監督も手話通訳や字幕を活用しながら指導を重ね、選手たちの集中力やひたむきな姿勢に手応えを感じています。世界の舞台で結果を残し、デフサッカーの価値を高めようとする選手・監督の強い思いが伝わる記事です。

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原文掲載元はこちら 

 https://www.sankei.com/article/20260511-VNSXIBCZCBMENKJADMHDWLMQFU/

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