著者：カール・ストローム
米国食品医薬品局（FDA）は、Appleの補聴器機能（HAF）をApple AirPods Pro 2で使用するために、初の店頭販売（OTC）補聴器ソフトウェアとして承認したと発表しました。HearingTrackerの記事によると、新しいHAFモードは、すべてのApple AirPods Pro 2および他の互換性のあるヘッドフォンを、OTC補聴器として使用できるオプションをユーザーに提供します。世界中に約1億人のAirPodsユーザーが存在し、価格も約250ドルと手頃であるため、この新しい補聴器モードは、音声増幅のグローバルなアクセス性において史上最大の進歩と言えるでしょう。
HearingTrackerのオーディオロジスト、マシュー・オールソップは、AppleのAirPods Pro 2に搭載された新しい聴覚健康機能について自身の見解を述べています。
Appleが月曜日のGlowtime発表イベントで新しい補聴器機能（HAF）を公開してから、今日のFDAによるマーケティング承認までの期間は驚くほど短いものでした。FDAによれば、この申請は「De Novo」プレマーケット審査ルートで審査されました。これは、低〜中リスクの新規デバイスで、以前に法的に販売されたデバイスがない場合に使用される規制ルートです。最初の公式なOTC補聴器であるBose SoundControl（現在はLexie Powered by Bose）も、同様にDe Novoプロセスで承認されました。
HAFは、米国の複数の拠点で軽度から中程度の聴覚障害を自覚している118名を対象に臨床試験で評価されました。参加者は、従来の補聴器、AirPods Proのトランスペアレンシーモード（環境音を増幅するモード）、および補助装置なしでの聴力をさまざまな条件下で評価されました。結果として、Apple AirPods Proは特に静かな環境で一定の聴覚改善を示しましたが、騒がしい環境では従来の補聴器ほど効果的ではありませんでした。この研究は、トランスペアレンシーモードのような機能を備えた消費者向けイヤホンが、軽度の聴覚障害を持つ人々に利益をもたらす可能性があることを示したため、注目を集めました。
HearAdvisorの独立したラボでも、Apple AirPods Pro 2に関するテストで同様の結果が得られました。トランスペアレンシーモードを使用し、一般的な軽度から中程度の聴覚障害（N4タイプ）を補うように設定された場合、SoundGrade「C」を達成し、AirPods Proはラボでテストされた全OTC補聴器およびヒアラブルデバイスの中で54機種中34位に位置しました。しかし、テストでは、より正確な聴力データに基づいた調整が行われれば、結果が大幅に向上する可能性があることも示されました。
FDAによると、HAF（補聴器機能）はソフトウェアのみのモバイル医療アプリケーションで、対応するAirPods Proバージョンで使用されることを想定しています。HAFはセルフフィッティング戦略を採用しており、ユーザーは聴覚の専門家の助けを借りずに自分の聴覚ニーズに合わせて調整できます。iOSデバイス（iPhoneやiPadなど）を使用して設定し、iOS HealthKitから取得したユーザーの聴力レベルに基づいてHAFをカスタマイズします。設定後、ユーザーは音量、音色、バランスの設定を微調整することが可能です。
詳細については、記事「AppleがAirPods Pro 2をすべてFDA登録の補聴器に変換」をご覧ください。HearingTrackerは、AppleからHAFモードの利用可能性に関する発表が近々行われると予想しています。
著者について
カール・ストローム
編集長
カール・ストロームはHearingTrackerの編集長であり、The Hearing Reviewの創設編集者の一人です。彼は30年以上にわたり補聴器業界を取材しています。
リンク先はアメリカのHearing Trackerというサイトの記事になります。（原文：英語）