ワクチン接種

MMRワクチンが承認、無菌性髄膜炎の頻度が低いとされるムンプス株を含有

【新薬】乾燥弱毒生麻しんおたふくかぜ風しん混合ワクチン(ミムリット)
2026/06/26
北村 正樹=医薬情報アドバイザー

 2026年5月11日、乾燥弱毒生麻しんおたふくかぜ風しん混合ワクチン(商品名ミムリット皮下注用)の製造販売が承認された。適応は「麻疹、おたふくかぜおよび風疹の予防」、用法用量は「添付の溶剤(日本薬局方注射用水)0.7mLで溶解し、その0.5mLを1回皮下に注射する」となっている。

 麻疹は麻疹ウイルスによる感染症で、発熱、カタル症状(鼻汁、咳)、発疹などが見られ、重症例では脳炎、脳障害や精神運動発達遅延を生じることがある。おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)はムンプスウイルスによる感染症で、片側または両側の耳下腺炎が認められ、合併症として精巣炎・精巣上体炎や髄膜炎が高い頻度で見られる。頻度は低いが、脳炎や難聴が発症した場合は予後が悪いことが知られている。風疹は風疹ウイルスによる感染症で、発疹を伴う発熱が見られ、関節痛や関節炎を伴うこともある。妊婦が感染すると、出生児に白内障、心疾患、感音性難聴、精神運動発達遅延などの先天異常が生じる場合がある。

 麻疹、おたふくかぜ、風疹は、いずれも特異的な治療法がなく対症療法が行われるが、ワクチンで予防可能である。日本では1989年から4年間、ムンプスウイルスのワクチン株(占部株)を含む麻疹おたふくかぜ風疹(MMR)ワクチンが小児の予防接種に使用されたが、接種後に無菌性髄膜炎が高頻度に発生し、使用中止となった。その後、おたふくかぜの予防には任意接種の乾燥弱毒生おたふくかぜワクチン(星野株など)が、麻疹・風疹の予防には定期接種の乾燥弱毒生麻疹風疹(MR)混合ワクチンや乾燥弱毒生麻疹ワクチン、乾燥弱毒生風疹ワクチンが使われてきた。

 近年の調査では、国内のおたふくかぜワクチンの接種率は30~40%にとどまり、数年ごとにおたふくかぜの流行が報告されている。一方で海外では、日本で使用されたワクチンとは異なるMMRワクチンが定期接種され、おたふくかぜの発生件数減少が報告されている。これを受けて2013年に厚生労働省は、日本ワクチン産業協会に安全性の高いMMRワクチン開発を要請。さらに、2015~2016年のムンプス難聴の大規模全国調査結果を踏まえ、2018年5月には小児科、産婦人科、耳鼻咽喉科などの関連学会が参加する予防接種推進専門協議会から、おたふくかぜワクチンの定期接種化の要望が厚労省に提出された。

 ミムリットは、既存のMRワクチンの弱毒生麻疹ウイルス(AIK-C株)と弱毒生風疹ウイルス(高橋株)に、弱毒生ムンプスウイルス(Jeryl Lynn株由来のRIT4385株)を混合したMMRワクチンである。RIT4385株は、無菌性髄膜炎の発現頻度が低いムンプスウイルス株として、海外では広く小児の定期接種のMMRワクチンに使用されている。同薬の接種により麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、風疹ウイルスに対する液性免疫および細胞性免疫が獲得され、感染時のウイルス増殖が抑えられることで発症予防効果が期待される。

 日本人の健康小児(生後12カ月以上24カ月未満)を対象とした国内第III相試験(J301試験)において、同薬の有効性および安全性が確認された。海外においては2026年5月現在、同じ株を用いたMMRワクチンは承認されていない。同ワクチンの承認を受け、日本小児科学会は2026年6月4日、「おたふくかぜを予防接種法に基づく対象疾病に含めること」「MMRワクチンの定期接種化」などを求める要望書を厚労省に提出した。

 重大な副反応として、ショック、アナフィラキシー、免疫性血小板減少症、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳炎・脳症、けいれん(熱性けいれんを含む)、無菌性髄膜炎、難聴、精巣炎、急性膵炎(いずれも頻度不明)が現れる可能性があるので十分注意する必要がある。また、その他の副反応として主なものに、発熱(33.6%)、紅斑(22.5%)、腫脹、疼痛(各5%以上)がある。


記事のポイント! 

麻疹・おたふくかぜ・風疹を予防するMMRワクチン「ミムリット」が承認されました。過去のMMRワクチンで課題となった無菌性髄膜炎の頻度が低いとされるムンプス株を含む点が特徴です。おたふくかぜは、まれに難聴を引き起こすことがあり、予後が悪い場合もあります。国内ではおたふくかぜワクチンの接種率が3040%にとどまる中、今回の承認を受けて、MMRワクチンの定期接種化を求める動きにも注目が集まっています。

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原文掲載元はこちら 

 https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/202606/593741.html

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