村田製作所とVIEのロゴ

VIE、村田製作所と共同開発のイヤホン一体型脳波デバイス「VIE EEG Headphone」が研究用脳波計と同等の精度で聴覚性脳波反応を検出できることを確認

Resting-state・P300・MMN・ASSRなど専門的な脳波指標を、装着するだけのイヤホン型デバイスで研究レベルの精度で計測できることを検証

VIE株式会社
2026年9月16日 11時00分

 次世代型ウェアラブル脳波計の開発とニューロテクノロジーの社会実装を行うVIE株式会社(本社:神奈川県鎌倉市、代表取締役:今村泰彦、以下「VIE」)は、株式会社村田製作所(本社:京都府長岡京市、以下「村田製作所」)と共同で開発を進めているイヤホン一体型EEGデバイス「VIE EEG Headphone」について、研究用の脳波計と同等の精度で、音刺激に対する脳波反応を検出できることを確認しました。

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 本研究成果は、2026年7月26日から30日にかけてカナダ・トロントのMetro Toronto Convention Centreで開催された国際学会「IEEE EMBC 2026(IEEE Engineering in Medicine and Biology Society 第48回年次国際会議)」にて、ポスター発表を行いました。


■ 研究の背景

 スマートフォンなどと連動する携行型の脳波(EEG)デバイスが登場し、脳の状態を日常生活の中でモニタリングできる可能性が広がっています。しかし、音刺激を用いた計測では、音を出す機器と脳波を記録する機器が別々になっていることが多く、両者のタイミングを正確に同期させることが技術的な課題となっていました。

 また、新しく開発されたEEGデバイスの精度を、研究用の標準的な機器と比較して厳密に検証した例は限られており、検証の手法自体もピアソンの相関係数(波形の形の似ている度合いを示す指標)のみに頼るケースが多く、値のズレ(系統的バイアス)や測定範囲によるズレの大きさの違いを見落とす可能性がありました。

 そこで、イヤホン一体型のEEGデバイスを開発し、複数の統計指標を組み合わせた多角的な検証を行うことで、研究グレードの精度を備えているかを確認しました。


■ 研究の内容

◆ イヤホン一体型EEGデバイス「VIE EEG Headphone」

 本デバイスは、イヤホンの左右のイヤーチップに、ペーストを使わない乾式の導電性電極を組み込んでおり、耳に装着するだけで脳波を測定できます。

 音を聞かせる機能と脳波を測る機能を1つのウェアラブル機器に統合しており、配線の取り回しが不要になる設計です。

イヤホン一体型EEGデバイス「VIE EEG Headphone

イヤホン一体型EEGデバイス「VIE EEG Headphone


 また、Bluetoothで音声を送る際に、参加者に聞かせる音の信号と、脳波記録側にタイミングを伝える同期信号を1つの音声データの中に組み込んでデバイス内部で振り分ける「内蔵オーディオトリガー」機能も備えています(今回の検証では、より厳密な同期を期すため、有線の外部トリガーを使用しました)。

図:電極配置の模式図(頭部を上から見た図)。VIE EEG Headphoneの電極(オレンジ)と、研究用脳波計の電極(紺)をFCzに隣接して設置した。

図:電極配置の模式図(頭部を上から見た図)。VIE EEG Headphoneの電極(オレンジ)と、研究用脳波計の電極(紺)をFCzに隣接して設置した。


◆ 検証方法

 健康な成人8名(男性7名、女性1名、20~43歳)を対象に、本デバイスと研究用脳波計「Polymate Mini AP108」(ミユキ技研製、電極ペーストを用いる湿式電極、FCzに設置)を同時に装着してもらい、同じ音刺激に対する脳波反応を比較しました。

 検証には次の4種類の課題を用いました。

(1)安静時課題:開眼・閉眼それぞれ180秒間、リラックス時に増える「アルファ波」(8~13Hz)を計測

(2)P300課題:全体の20%の頻度で出現するターゲット音に注意を向けた際に生じる脳波反応「P300」を計測する能動的オドボール課題

(3)MMN課題:音の変化に脳が無意識に反応する微弱な波「ミスマッチ陰性電位(MMN)」を計測する受動的オドボール課題

(4)ASSR課題:40Hzのリズムで音を刺激し、脳波がそのリズムに同期して振動する「聴性定常反応(ASSR)」を計測

 2つの機器の一致度は、ピアソンの相関係数(r)に加えて、値そのものの一致度を評価するLin's一致相関係数(CCC)、系統的なズレも含めて信頼性を評価する級内相関係数(ICC)、および2機器の差を可視化するBland-Altman分析という、複数の統計指標を組み合わせて評価しました。


■ 研究の結果

 いずれの課題においても、VIE EEG Headphoneは研究用脳波計と高い一致度を示しました。特にP300振幅とアルファ波パワーについては、Koo & Liの基準で「優秀」とされるICC 0.90を大きく上回る結果が得られ、系統的なズレ(バイアス)もごくわずかでした。

図:P300課題における加算平均波形の比較
図:P300課題における加算平均波形の比較

図:P300課題における加算平均波形の比較。(a)研究用脳波計(Polymate)、(b)VIE EEG Headphone、(c)両者の重ね合わせ。オレンジ線がターゲット音、青破線が標準音への反応で、両機器の波形はほぼ重なっています。


 MMNについても、P300よりも振幅の小さい微弱な信号にもかかわらず、ICC 0.94という高い信頼性で検出できました。ASSRについても、40Hzの周波数成分の強さ(総パワー)と位相の同期度(PLF)の両方で、研究用機器と比較できる水準の結果が得られています。

 

■ 考察と今後の展望

 P300・MMN・ASSRといった聴覚に関連する脳波反応は、脳の前頭・中央部の活動によって強く現れることが知られています。今回、VIEと村田製作所は、そうした反応をとらえるうえで、電極を1か所に絞った単チャンネル構成でも十分な精度が得られることを確認しました。

 これにより、認知負荷のモニタリング(アルファ波・P300)、聴力のスクリーニング(ASSR)、神経変性疾患に関わるバイオマーカーの探索(MMN・ASSR)など、日常的に使えるウェアラブル機器としての応用可能性が広がります。

 一方で、本検証の対象は健康な成人8名にとどまっており、高齢者や疾患を持つ方など、より幅広い対象への一般化には追加の検証が必要です。今後、より大規模かつ多様な参加者を対象とした検証や、完全ワイヤレス運用を想定した内蔵Bluetoothオーディオトリガーを用いた検証、長期的な再現性や耐アーティファクト性の評価を進めていく予定です。


記事のポイント!

耳に装着するだけで脳波を測定できるイヤホン一体型デバイス「VIE EEG Headphone」が、研究用脳波計との比較で高い一致度を示しました。特に、音への注意反応を示すP300、音の変化に無意識に反応するMMN、聴覚機能の評価にも用いられるASSRなどを検出できた点が注目されます。将来的には、聴覚スクリーニングをはじめ、日常生活の中で聴覚や脳の状態を測定するウェアラブル機器への応用が期待されています。

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原文掲載元はこちら 

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000090.000067474.html

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