2026年7月18日
日本で初開催となった、聴覚障害者のアスリートが出場する「デフリンピック」が2025年11月に開催され、半年余りが過ぎた。全日本ろうあ連盟の前事務局長で、デフリンピック運営委員長を務めた久松三二さんに、大会について話を聞いた。(聞き手・栗原守)
当事者の自分たちが動く
デフリンピック、当事者の運営にこだわった大会…全日本ろうあ連盟の久松三二・前事務局長に聞く

全日本ろうあ連盟の久松三二・前事務局長
――思い描いたような大会を実現できましたか。
久松氏 (以下略) かなり前から、日本でデフリンピックを開こうとの動きがあり、当事者ではない有志が動いてくれました。しかしその時は結局、うまくいきませんでした。私はそこで「当事者の自分たちが動かないといけない」ということを学びました。今回東京デフリンピックが実現できたことは、当事者にとって大きな自信になりました。東京都も次第に、当事者主体の考え方を理解してくれるようにもなりました。
――聴覚障害者への社会の理解は深まりましたか。
関心を持ってもらうという意味では間違いなく広がったと思います。手話を学ぶ人が増えたことが大きいです。聴覚障害者の人が働く職場でも、その当事者が、まずは何を望んでいるか話を聞くという行動が広がったようです。障害のない人たちが、障害のある人に自分たちの考える方法を押しつけず、本人の意向を聞くということは共生社会の第一歩で、デフリンピックを通じて生まれた状況だと思います。
自信を深めた選手たち
――選手たちの様子はどうでしたか。
みな自信たっぷりの様子でした。これまでは取材を受けるようなこともなく、関心を集めることもありませんでした。ひっそりと暮らしていた当事者が、デフリンピックを通じ社会の中での自分の存在を表すことが、自信につながったと思います。活躍した選手たちは、ゆかりのある地方で知事や市長などから賞状を頂くなど、応援を実感しているようでした。
――こうした成果を次につなげていくには。

デフリンピックを振り返る久松さん
記録映画を制作したいと思っています。来年1月から日本各地で上映会を開催していきたいです。デフスポーツは全日本ろうあ連盟だけで支えていくのは難しく、デフスポーツ振興の体制作りを進めたいと考えています。今は、デフスポーツに特化した団体を作るかどうかを検討しています。また、スポーツだけでなく、文化活動も強化する方針で、手話文化で仕事ができるような支援をしていきたいです。
主体性を持って大会を
――秋には愛知県内を中心に、アジアパラ競技大会が開かれます。
私から見ると、アジアパラは当事者が積極的に大会運営に関わっているようではなく、お客様扱いされていると感じます。当事者がどれだけ一緒になって運営していくかに、私は関心を持っています。私もパラスポーツの団体で役員を務めたことがありますが、その時は「支える」という言葉が多用されていました。私はそれだけではなく、「主体性」を持って当事者が動くことが大事だと訴えたいと思います。
記事のポイント!
日本初開催の東京デフリンピックについて、当事者自らが大会運営に関わったことが聴覚障害者の自信や社会の理解につながったと振り返るとともに、本人の意向を尊重することの大切さ、選手たちが社会の中で存在を示した意義、記録映画の制作やデフスポーツ振興団体の検討、手話文化を仕事につなげる支援など、大会の成果を次世代へ継承する取り組みが紹介されています。
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原文掲載元はこちら
https://www.yomiuri.co.jp/yomidr/article/20260715-GYT1T00301/
