2025年7月2日 17:31

京セラは手話表現を日本語に変換する技術を開発した(2日、東京・江東)
京セラは人工知能(AI)を活用して手話表現を文字に変換する技術を開発した。自治体の窓口などに機器を設置すれば、手や指の動きをカメラで読み取り、パネルに日本語で表示する。音声をリアルタイムで文字起こしする既存システムと合わせれば、自治体職員が手話ができなくても、聴覚障害者との対話がしやすくなる。
2027年度にも自治体など向けに提供する。「年金を申請したい」「マイナンバーカードを取得したい」といった、窓口でよく使われる手話表現を分析できるようにした。自動運転車やロボット向けで蓄積してきた認識技術を応用した。
手話は大きく分けて、幼いころから耳が聞こえない人が主に使う「日本手話」と、難聴者や途中で聴覚を失った人が使う「日本語対応手話」があり、京セラ製は日本手話に対応する。現時点で認識精度は9割以上という。
新システムはグループ会社の京セラドキュメントソリューションズジャパン(大阪市)を通じ、会話内容をリアルタイムで文字変換するシステム「コトパット」のオプションとして売り込む。23年に発売したコトパットは134言語を翻訳でき、自治体や大学、ホテルなど300件以上の導入実績がある。
自治体や企業からのニーズは強まる。聴覚・言語障害者は全国で38万人前後いるとされる。障害者雇用促進法では障害者の社会参加を後押しするために、従業員の一定割合以上の障害者雇用を義務付けている。24年4月に企業で2.5%、国や自治体で2.8%だった法定雇用率は26年7月からそれぞれ2.7%、3.0%に引き上げられる見通しだ。
手話の文字変換技術はすでに商用化されているものはあるものの、手話表現を単語単位で区切って認識するため時間もかかっていたという。京セラの先端技術研究所の村上文雄氏は「同じ単語でも人によって手や指の動きが異なる。対応できる手話表現を増やすとともに、AIを通じて精度を高めていく」と話す。
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