ソファに座って膝の痛みを感じる高齢女性写真=iStock.com/Riska

耳が聴こえにくいなら「補聴器」、では足腰が弱くなったら?…医師・和田秀樹「ヨボヨボ化を遅らせる便利グッズ」

2026/08/28 11:00
PRESIDENT Online
和田 秀樹
精神科医


老化現象による障害を上手に乗り越えるにはどうすればいいか。医師の和田秀樹さんは「いくつになっても元気な人ほど文明の利器、便利グッズを活用しまくっている。特に認知症と聞こえは、密接に関係しているので、耳が遠くなったら、補聴器は絶対に使ったほうがいい」という――。

※本稿は、和田秀樹『認知症でもひとり暮らし』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

ソファに座って膝の痛みを感じる高齢女性写真=iStock.com/Riska

ソファに座って膝の痛みを感じる高齢女性写真=iStock.com/Riska
※写真はイメージです


ボケたくなければ、手書きで日記をつける

認知症の進行を遅らせるには、前頭葉を鍛え続けなくてはなりません。そのために、もっとも効果的な方法は、積極的にアウトプットをするということになります。具体的に説明していきましょう。

前頭葉を鍛えるには、情報や知識をインプット(入力)するよりアウトプット(出力)が必要になってきます。

それは、脳の中で、インプットに関わる部位が側頭葉なのに対して、溜め込まれた記憶や知識、情報を引っ張り出す機能を担うのが前頭葉だからです。ということは、アウトプット機能を意識的に鍛えることで、前頭葉が活性化できるということになります。

では、具体的に何をすればいいのかというと、まずは「日記をつける」ことをおすすめします。日記をつけるような面白いことなんて、ないよ、と思われるかも知れませんが、実は、平凡な一日こそ、前頭葉を鍛える絶好のチャンスなのです。

特別なことがなければ、その日の朝から夜までのできごとすべてを思い起こして下さい。そして、書くべきことを決め、さらにそれについて、できるだけ詳しく思い出してみるのです。この動きが、記憶を引き出すトレーニングになります。

日記は、必ずしも長文でなくてもいいと思います。ほんの3、4行でも構いません。重要なのは、思い出したり、何を書くかを考えることにあります。そのとき、文章は手書きで行うとなおいいですね。

 

「メモをとる」が物忘れの強い味方に

パソコンやスマートフォンが普及し、文字を手書きする機会がめっきり減ってしまいました。タイピングは楽ですが、指先を決められた通りに動かすだけなので、脳をさほど使わないのです。

一方、手書きの場合は、ペンを握って、あれこれ考えを巡らせながら指先を細かく動かすので、そのぶん、脳が活性化してくれるのです。さらに、漢字、カタカナ、ひらがなを認識する脳の部位はそれぞれ違うので、脳が満遍なく動きます。

また、手書きだと、文字を適切な位置に配置する必要があるため、空間認識能力も使わなくてはなりません。これも、脳にとってはいい運動です。

日記を書く高齢女性写真=iStock.com/BongkarnThanyakij

日記を書く高齢女性写真=iStock.com/BongkarnThanyakij
※写真はイメージです


要するに、手書きはパソコンやスマートフォンを使って文字を入力することと比較すると、使う脳の範囲がはるかに広いわけです。日記を書くなら、ぜひ、手書きでお願いします。

また、手書きといえば、日常生活の中で、一番簡単で、物忘れの強い味方になるのが「メモをとる」ことです。

 

トレーニングがてら、SNSで遊ぶのも効果的

私も最近、メモをしないと忘れてしまうことが増えてきました。ネットで見た研究を後でじっくり読もうと思っていても、そのページをお気に入りに保存しておくか、名前をメモしておかないと思い出せないのです。参ります。

いいアイデアが浮かんでも、時間が経つと思い出せない場合も多々あるので、いまでは、いろいろなことを書き留めておくようにしています。書くということは、それ自体がアウトプットの作業ですから、前頭葉を刺激する脳トレにもなってくれます。

どうしても、書く習慣がないというかたは、新聞や雑誌の記事を書き写すだけでもいいのです。「読む」「一時的に記憶する」「書く」の各段階で、脳を使うことになるので、手書きでメモをとるのと同様の効果が期待できます。

日記のほかにも、構築した自分の考えや意見を誰かに話すという行為も前頭葉にはいいとされています。蓄積してきた知識を抽出して組み合わせ、一つの考えを練るというプロセスは、前頭葉を鍛えてくれます。

そういった意味では、講演会やYouTubeで発信することが、私にとってはアウトプットトレーニングになっていると感じます。

いまは、誰でも発信者になれる時代です。トレーニングがてら、SNSで遊ぶのも楽しいかも知れませんよ。

 

便利グッズを駆使してしぶとく生きる

足腰が弱くなった、目がかすむ、耳もきこえづらい。おまけにボケまできてしまった。高齢になると、次から次へと不具合が出てくるものです。老化現象なので、仕方のないことなのですが、放っておいてはQOL(クオリティ・オブ・ライフ/生活の質)が下がってしまいます。

老化現象による障害を上手に乗り越えられる人ほど、いくつになっても元気で、重い要介護状態にもなりにくい傾向があります。そういったかたは、認知症になっても、進行が遅いですし、日々、やりたいことをやって楽しんでいることが多いです。おまけに、家族や周りのかたとも良好な関係を築いているように見受けられます。

では、どうしたらそんな風になれるかというと、ずばり、文明の利器、便利グッズを活用しまくればいいのです。

世の中には、高齢者の生活を助けてくれるものがたくさんあります。老眼鏡、補聴器、オムツ、杖、転倒防止シューズ、歩行器。スマホやパソコンも、通信手段として使っているだけでは、もったいない代物です。もっともっと使いようはあります。

特に認知症と聞こえは、密接に関係しているので、耳が遠くなったら、補聴器は絶対に使って欲しいと思っています。補聴器なんか年寄り臭くて嫌だというかたは、少し情報が旧いですよ。

最近の補聴器は性能が格段に上がっていますし、つけたところも、ほとんど目立たないものが主流です。イヤホンよりも小さくて耳の穴にすっぽり収まってしまうものもあるくらいです。気になるようなものではありません。

 

記事のポイント! 

年齢を重ねて聞こえづらくなったとき、「年だから仕方ない」と不便を抱え続けるのではなく、補聴器などの便利な道具を活用するという視点を紹介しています。精神科医の和田秀樹氏は、聞こえと認知症の関係にも触れ、生活の質を保つために補聴器を積極的に使うことを勧めています。

関連ページ  

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気になる症状がある場合は  

聞こえに不安がある場合は、早めに耳鼻咽喉科への相談をおすすめします。 


原文掲載元はこちら 

 https://president.jp/articles/-/118114

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