2026年6月2日 16:00
映画ナタリー編集部
日本映画業界の課題解決に取り組む一般社団法人Japanese Film Project(JFP)が実施した「バリアフリー上映に関するアンケートの結果と分析2026~情報保障の映画賞をつくる~」が、同団体の公式noteにて公開された。

「バリアフリー上映に関するアンケートの結果と分析2026~情報保障の映画賞をつくる~」画像
JFPは、日本映画業界におけるダイバーシティ&インクルージョンや労働環境、人材不足などの課題について調査・提言を行う団体。今回の調査では、情報保障やユニバーサル上映の環境について、主に質的な側面に焦点を当て、障害当事者・関係者・観客の声を集めた。
調査では「字幕や音声ガイド(オーディオ・ディスクリプション)が付くことが多くなった」といった前向きな意見が寄せられた一方で、「バリアフリー日本語字幕付き上映回を増やしてほしい」「障害当事者によるクオリティチェックをきちんと入れてほしい」といった課題も浮上。また、視覚・聴覚障害者向けの情報保障制作に関わるクオリティチェックがクレジットされない傾向があり、障害当事者の存在が不可視化されてきた実態も指摘された。

「バリアフリー上映に関するアンケートの結果と分析2026~情報保障の映画賞をつくる~」より、障害当事者・関係者・観客の声 [高画質で見る]
アンケートでは、OttO、川越スカラ座、川崎市アートセンター、シネマ・ジャック&ベティ、シネマネコ、下高井戸シネマ、新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーの取り組みを評価する声が寄せられたほか、ユニバーサル上映の常設館であるCINEMA Chupki TABATA(シネマ・チュプキ・タバタ)には30人以上の回答者が言及。「独自の副音声の作成と全席イヤホン設置。視覚障害者への盲導犬が入場できるような配慮、駅までの送迎。子育て中の親の視聴を助ける防音室」「すべての作品に字幕・音声ガイドがあるのでいつでも安心して行ける」といった評価が寄せられた。
さらに調査資料には、映像作家の今村彩子、ブラインド・コミュニケーターの石井健介、CINEMA Chupki TABATA代表の平塚千穂子、JFP代表理事の歌川達人ら11人による寄稿も掲載。ろう者や視覚障害者、研究者、映画上映者など、さまざまな立場から映画アクセシビリティにおける現状と課題が論じられている。
また6月6日には、シンポジウム「映画の『アクセシビリティ』、誰が質を守るのか ~障害当事者の声から考える~」が東京・東京大学本郷キャンパスで開催される。
記事のポイント!
映画のバリアフリー上映は、字幕や音声ガイドの導入が進み、以前より作品を楽しみやすい環境が広がりつつあります。一方で、上映回数の少なさや、障害当事者によるクオリティチェックの位置づけなど、まだ見えにくい課題も残されています。映画を誰もが楽しめる文化にしていくために、情報保障の質と当事者の関わり方を考えるきっかけになる記事です。
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