竹内成彦 I 心理カウンセラー(公認心理師)
4/27(日) 9:09

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。
1.音嫌悪症(ミソフォニア)と動作嫌悪症(ミソキネシア)の定義
音嫌悪症とは、特定の日常音(咳や咳払いの音・鼻すすりの音・咀嚼音・呼吸音・ペンのカリカリ音など)に対して、過剰な嫌悪感・怒り・逃避衝動が生じる症状です。脳の聴覚皮質と運動皮質の異常な連動が関与し、他人の口の動きを脳内で「ミラーリング」する際に苦痛が生じると考えられています。
動作嫌悪症とは、貧乏ゆすりやガムを噛む顎の動き、机を叩く反復動作など、特定の身体動作への過敏反応が特徴です。音嫌悪症と異なり、視覚刺激がトリガーとなる点が最大の違いです。
2.主な特徴比較
音嫌悪症では、他人の咀嚼音を聞く際に自身の運動皮質が活性化され、自分が咀嚼しているかのような共感反応が過剰に働くメカニズムが指摘されています。
動作嫌悪症に関する詳細な脳メカニズムの研究は現時点で限られていますが、視覚情報と感情反応の異常な結びつきが推測されます。
3.音嫌悪症と動作嫌悪症の治療アプローチ
現状の治療環境
両症状とも確立された治療法は存在しません。
ここでは、最新の臨床研究と実践例から有効性が報告されている手法を整理いたします。
4.ミソフォニアの実践的対応
TRT療法(耳鳴り順応療法の応用)
トリガー音とリラクセーション反応を条件付けし、脳の誤認識を修正する手法です。
認知行動療法(CBT)の応用思考再構成
「音=危険」の認知歪みを修正します。
曝露療法
専門家監修下での段階的曝露(自己判断での実施は悪化リスクあり)をしていきます。
安心・安全が確保された状態でやるのがポイントです。
超トランス状態誘導
潜在意識への介入で神経過敏を緩和させる方法です。
多感覚統合療法
聴覚・視覚・触覚を組み合わせた感覚調整を行います。
5.動作嫌悪症(ミソキネシア)の対応
薬物療法の可能性ステロイド(プレドニゾン)
神経過敏の緩和効果が症例報告されています。
SSRI
情動反応の軽減を目的とした適応外の使用です。
視覚情報処理訓練眼球運動療法(EMDR応用)
トリガー動作への過敏反応を減衰します。
視覚的注意転換法
特定の視覚パターンに焦点を移す訓練です。
6.日常生活での対策
物理的遮断
ミソフォニアには、ループイヤープラグやノイズキャンセリングヘッドが有効です。
ミソキネシアには、視界遮断フィルター付きメガネが有効です。
環境設計
職場や自宅で自分のスペースを作り、トリガー回避背景音楽や自然音によるマスキングが有効です。
ミソフォニアやミソキネシアで苦しんでらっしゃる方へ、
当事者でありカウンセラーである私から伝えたいことが3点ございます。
ひとつめは、苦悩を抱えているのは、あなただけではない…ということです。
ふたつめは、自分の苦悩を誰かに理解してもらうことの大切さです。理解してもらうだけで、あなたの苦悩は少なからず減少します。
みっつめは、良質で十分な睡眠と身体に良い食べ物を摂取することと適度な運動をすることが非常に重要ということです。
私は、あなたが、少しでもこの苦しみから解放されることを心から祈っています。
今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。
この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。
竹内成彦
心理カウンセラー(公認心理師)
1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。
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