「バイブレーションがここまで繊細に?」スマホが“手のひら4DX”になる 東北大TouchStarが予想外に実用的だった

「バイブレーションがここまで繊細に?」スマホが“手のひら4DX”になる 東北大TouchStarが予想外に実用的だった

2025.11.26 08:00
文● ASCII STARTUP 撮影●曽根田元

 2025年11月17日に開催された「ASCII STARTUP TechDay 2025」に、東北大学のプロジェクト「TouchStar」が出展。ブースでは、武道芸術の映像に合わせてスマートフォンが自然な強弱で振動するデモや、アーティストの楽曲と同期する触覚コンテンツの体験が行われた。「え、スマホのバイブってこんな繊細だったっけ?」と新鮮な感動を覚える展示だった。

TouchStar代表 石田 健太氏

TouchStar代表 石田 健太氏


専用設備を前提としない“体感メディア”

 TouchStarは、東北大学 大学院情報科学研究科でロボットの触覚情報を研究する昆陽雅司教授の「触覚信号変換技術」をベースに、同大学客員起業家の石田健太氏が進める、映像・音楽の“触覚化”に挑むプロジェクトだ。

 普段は通知に使われるだけのバイブレーション機能だが、実は周波数ごとの制御が可能で、最新のスマホではかなり微細な振幅調整もできるという。そんな高度な機能が眠っていたとは。ちょっとした発見である。その可能性を引き出すのがTouchStarの狙いだ。

 武道芸術パフォーマンスのデモでは、QRコードから映像を再生すると、打撃の鋭さや動きの緩急が“ちょうどいい強さ”で手元に返ってくる。過度でも単調でもなく、映像のテンションがそのまま伝わる不思議な感覚だ。

10月に開催されたCEATEC 2025では「ネクストジェネレーション部門賞」を受賞。写真右は昆陽雅司教授

10月に開催されたCEATEC 2025では「ネクストジェネレーション部門賞」を受賞。写真右は昆陽雅司教授


昆陽教授の「触覚信号変換技術」とは?


 こうした自然な揺れを成立させているのが、昆陽教授が開発した「触覚信号変換技術」。映像や音声の強弱・緩急・雰囲気といった特徴量を抽出し、人が“違和感なく受け取れる”触覚信号に変換する。その結果、バイブレーションは“刺激で驚かせるための装置”から、映像や音をそっと補う役割へと昇格するのだ。


音楽の“表情”を振動として伝える


 アーティスト・カノエラナ氏の楽曲と同期する「TOUCH MY VOICE」では、触覚表現の妙をよりはっきりと感じられる。

 序盤はギターのリズムに合わせて軽い揺れ、曲が盛り上がる場面では歌声の強さに応じて振動がしっかり返ってくる。むしろ、にぎやかな会場内では小さな音は聴きづらいぶん、歌の盛り上がりが“揺れ”で伝わるのが心地よく感じた。

 また、クリエイター向けの編集ソフトも提供されており、自動生成された振動データを音量調整のように細かく編集できる。“触覚まで含めた作品づくり”という新しい制作概念が見えてくる。

 とはいえ、これはもう実際に触ってみないとわからない。iPhone用のデモが用意されているのでぜひ体験していただきたい。

■iPhone用デモ

武道デモ:「斬楽 -ZENGAKU-」(出演:武楽座)
音楽デモ:「TOUCH MY VOICE」(アーティスト:カノエラナ)


体感型メディアの民主化


 4DXシアターのように大掛かりな設備を必要とせず、TouchStarはスマホだけで成立する。「体感メディアって、こんなシンプルな形でいけるのか」と軽い衝撃があった。

 大きな映画館が少ない地域でも体感型コンテンツが楽しめるし、聴覚障害のある方がスポーツや音楽の“盛り上がり”を触覚で補える可能性もある。

 大げさな専用デバイスは不要。すでに誰もが持っているスマホが、“触覚メディア”としての役割を担い始めている。そんな未来を感じさせる展示だった。


リンク先はASCII STARTUPというサイトの記事になります。


 

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