公開日2025/07/05 更新日2025/07/04 ブックマーク数

障害者雇用の必要性が高まる中、初めて障害者雇用に取り組む中小企業は、国や自治体のサポートを必要としています。
令和7年(2025年)度、東京都は「東京都中小企業障害者雇用スタート支援奨励金」を創設しました。
これは障害者を雇用する中小事業主を応援し、奨励金を支給するものです。
今回は、東京都中小企業障害者雇用スタート支援奨励金の概要や申請方法をまとめました。
目次本記事の内容
- 障害者雇用率制度とは
- 障害者雇用はなぜ必要?
- 東京都中小企業障害者雇用スタート支援奨励金とは
- 東京都中小企業障害者雇用スタート支援奨励金の申請について
- まとめ
障害者雇用率制度とは
障害者雇用率制度は、障害者の職業の安定を図ることを目的として、事業主に対して一定割合以上の障害者雇用を義務付ける制度です。
障害者も一般労働者と同じ水準において、常用労働者となり得る機会を確保します。
現在、民間企業の法定雇用率は2.5%です。従業員が40人以上の企業は、障害者を1名以上雇用する必要があります。
雇用義務を履行しない事業主には、ハローワークから行政指導が行われます。
令和8年7月以降、民間企業の法定雇用率は2.7%に引き上げられる予定です。
企業の障害者雇用への取り組みが、ますます重要になっています。
参考:厚生労働省 事業主の方へ
障害者雇用はなぜ必要?
障害者雇用は、障害のある人の社会参加と自立支援に加え、企業にとってもメリットをもたらします。多様な人材を受け入れることで、企業の社会的責任(CSR)の実践としても大きな意味を持つからです。また障害を持つ人へのサポートは、職場内の環境を整え、どんな状況になっても働きやすい社会の実現につながります。
さらに、高齢化社会の進展により労働力不足が深刻化する中で、障害者雇用は貴重な人材確保の手段としても注目されています。
法的な義務を果たすだけでなく、企業の持続的成長と社会貢献を両立させる重要な取り組みとして、障害者雇用の推進が求められているのです。
東京都中小企業障害者雇用スタート支援奨励金とは
東京都中小企業障害者雇用スタート支援奨励金では、障害を持つ方が希望とやりがいを持って活躍できる社会の実現を目指しています。初めて障害者を雇用する中小事業主が、支援の対象です。
まずは東京都中小企業障害者雇用スタート支援奨励金の概要を見ていきましょう。
主な支給要件
東京都中小企業障害者雇用スタート支援奨励金では、必要に応じて検査(現地調査)が実施されます。この検査に応じない場合や、疑義がある場合には奨励金を支給されないこともあります。
そのほか、事業者と労働者の主な要件は、以下のとおりです。
支給対象事業者
事業者の主な支給要件は、以下のとおりです。
支給対象事業者
これまでに障害者の雇用実績がない中小事業主であること
障害者の雇用前に、ハローワークに障害者雇用状況報告書を提出した事業主であること
雇入れた障害者の週所定労働時間が20時間以上であること(重度障害者は、週所定労働時間が10時間以上)
障害者、重度障害者を6月間継続して雇用し、賃金を支給していること
雇入れ後6か月間の評価を行い、今後の育成方針を策定すること
雇入れた労働者が、東京都内の事業所に勤務していること
なお本奨励金における「重度障害者」は、以下の者を指します。
- 重度身体・知的障害者
- 精神障害者
- 雇入れられた日現在の満年齢が45歳以上の身体・知的障害者
また週所定労働時間が20時間以上の場合には、東京労働局長に特開金の支給申請を行い、支給決定を受けていることが必要です。
支給対象労働者
労働者の支給要件は、以下のとおりです。
支給対象労働者
障害者または重度障害者であること
以下のすべてに該当すること
・雇入日から6か月以上の期間継続して雇用されている労働者であること
・雇入日から支給申請日までの間、東京都内の事業所で勤務していること
ただし、就労継続支援A型事業の利用者として雇用される者は除きます。
支給金額
支給額は、週所定労働時間ごとに、以下のように定められています。

なお1事業主あたりの支給人数は、1人です。
東京都中小企業障害者雇用スタート支援奨励金の申請について
申請は、電子または郵送にて行います。申請のスケジュールや、必要な書類をまとめました。
申請方法
申請書類を持参する場合は、事前に電話予約が必要です。また郵送の場合は、記録が残る簡易書留等の方法で送付してください。
郵送時の提出先は、以下のとおりです。
東京都産業労働局 雇用就業部 就業推進課 障害者雇用促進担当
〒163-8001 東京都新宿区西新宿2-8-1 東京都庁第一本庁舎21階北側
電話:03-5320-4663(代)
電子申請の場合はJグランツを使用します。事前に「GビズID」のアカウントを取得してください。
申請書類
申請時に必要な書類は、以下のとおりです。
①支給申請書
②支給対象労働者が障害者であることを確認する書類
③雇用契約書等の写し
④就業規則、給与規定の写し
⑤労働時間が確認できる書類の写し
⑥雇入れから6か月間に支払った賃金に係る賃金台帳の写し
⑦誓約書
⑧法人:登記事項証明書・個人事業主:個人事業の開業・廃業等届出書の写し
⑨育成方針
⑩週平均所定内実労働時間確認表
⑪支払金口座振替依頼書
⑫印鑑証明書
⑬その他
なお支給対象労働者の週所定労働時間が20時間以上の場合、「支給対象労働者の雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用)の写し」と「特開金(特定就職困難者コース)に係る支給申請書の写し」も必要となります。
申請期間
申請は、令和7年6月1日から開始されています。対象となる労働者を採用した日から6か月経過した日の翌日から、2か月以内に行ってください。

出典:東京都中小企業障害者雇用スタート支援奨励金 申請の手引き
奨励金支給申請の後、1か月以内に「育成方針」の提出を行います。奨励金の交付は、支給決定からおおむね30日以内です。
なお、遡及適用は認められません。ただし、令和6年10月1日から11月30日の間に支給対象者を雇入れた場合については、令和7年6月1日から7月31日までは申請可能です。
まとめ
東京都中小企業障害者雇用スタート支援奨励金は、初めて障害者雇用に取り組む都内中小企業を対象とした新たな支援制度です。週所定労働時間と障害の程度に応じて、30万円から120万円の奨励金が支給されます。
障害者雇用は法的義務であると同時に、企業の成長と社会貢献を両立させる重要な取り組みです。東京都中小企業障害者雇用スタート支援奨励金をはじめとした支援制度を活用して、すべての人が活躍できる職場環境の整備を進めていきましょう。
補助金ポータル編集部
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