2026年9月16日 午前6時10分

ADHDのメカニズム解明について説明する謝助教(右)と松崎教授=9月15日、福井県福井市の福井大文京キャンパス
福井大学の研究チームは9月15日、福井県福井市の同大文京キャンパスで会見し、脳内で行動や意欲の調整に関わる神経細胞の機能が低下すると、発達障害の一つ「注意欠如多動症(ADHD)」の症状が起きることを突き止めたと発表した。ADHD発症メカニズムの一端が解明され、新たな治療法の開発につながるという。
同大子どものこころの発達研究センターの謝敏珏(しゃびんかく)助教(60)らのチームは、脳の神経細胞内でタンパク質を運んだりする分子(NSF)に着目。この分子を欠損させたマウスを使って挙動などを解析した。
チームによると、マウスの脳内では行動を制御する領域「線条体」の発達に異常が生じ、神経伝達物質(ドーパミン)を受け止め、運動や行動などの制御に関与する「受容体」と呼ばれるタンパク質を持つ神経細胞が減少。マウスは多動性や衝動性などADHDに似た異常行動を示した。
このマウスに既存のADHD治療薬「メチルフェニデート(MPH)」と受容体を刺激する試薬「キンピロール(QNP)」とを併用して投与したところ、異常行動は改善された。チームはこれらの結果から、NSFがドーパミンの関わる神経機能に重要な役割を果たしており、その障害がADHDの行動につながっている可能性があると結論付けた。
従来のMPH単独治療では効果が不十分なケースがあるといい、会見した謝助教は「治療での応用に向けて、臨床研究でQNPの副作用を検証することになる」と説明。同センターの松崎秀夫教授(60)は「ADHD治療への福音になるのではないか」と評価した。
記事のポイント!
福井大学の研究チームが、神経細胞内でタンパク質を運ぶ分子「NSF」の障害が、ドーパミンに関わる神経機能を低下させ、ADHDにみられる多動性や衝動性につながる可能性をマウス実験で示しました。既存薬メチルフェニデートとドーパミン受容体を刺激する試薬の併用で異常行動が改善しており、今後の臨床研究や新たな治療法の開発につながることが期待されています。
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