手話で「ありがとう」と伝える平嶋萌宇さん=東京都新宿区

美の道 手話で切り開く 筑波技術大の平嶋さん 障害者で初 ミス日本・ミス着物に

2026年6月24日(水)

手話で「ありがとう」と伝える平嶋萌宇さん=東京都新宿区

手話で「ありがとう」と伝える平嶋萌宇さん=東京都新宿区


指先で紡ぐ言葉が、伝統ある美の祭典に新たな風を吹き込んだ。「ミス日本コンテスト2026」で、筑波技術大大学院1年の平嶋萌宇(もね)さん(22)=東京都内在住=が、障害のある人として初めて「ミス日本 ミス着物」に選ばれた。真っすぐなまなざしで挑んだその姿は、意思疎通の支援などコンテスト運営をも動かした。「手話が私に希望をくれた。恩返しとして、聴覚障害のある人の希望になれたら」。耳の聞こえる人とろう者の間にある壁を取り払い、新たな道を切り開こうとしている。

 

◆隔たり痛感

平嶋さんは福岡県福岡市出身。地元の大学在学中、ありのままの自分を受け入れるきっかけとなった手話を深く学びたいと、視覚・聴覚障害者が学ぶ国内唯一の国立大である筑波技術大(茨城県つくば市)へ編入した。

全国から集まる学生たちと、各地の手話表現を紹介し合うなど交流を深めた。聴覚障害者の国際スポーツ大会「東京デフリンピック」には応援サポーターとして参加。手話言語の奥深さに魅了される一方、社会にある「耳の聞こえる人」との隔たりも痛感してきた。

母の勧めで「自分に何かできないか」と一歩踏み出したのが、ミス日本への挑戦だった。調べてみると、コンテストは外見だけでなく、社会をより良く変えようと努力する姿勢も重視していることを知った。

 

◆心通わせる

1950年に始まったコンテストで、ろう者がファイナリストに残るのは初めての出来事だった。運営するミス日本協会は選考過程で、意思疎通の支援を模索した。同大から手話通訳士の派遣を受けたほか、共用品推進機構から音声認識装置を借りて発言を即座に文字化。他の候補者たちも、簡単な手話やスマートフォンアプリを使って平嶋さんと心を通わせた。

平嶋さんは1月、「ミス日本」の5人に選ばれ、その中で「ミス着物」となった。同協会の和田あい理事は、平嶋さんを「ファーストペンギンになる覚悟があった」と評する。「ミス日本が考える美しさは、周りを巻き込みながら社会をより良くする力。まさにそれを体現している」と惜しみない賛辞を送る。

 

◆自然に支援

平嶋さんは今、ミス日本として各地で手話の美しさを伝えている。任期は来年1月まで。「きょう出会う人にとって、私が初めてのろう者かもしれない。なので、できるだけ明るく、障害のイメージではなくて、一人の人として見てもらえるように頑張る」と誓う。

茨城に来て、驚いたことがある。バスで通学中、視覚障害のある学生を、他の乗客が自然にサポートする姿があった。「県内には(つくば市の)研究学園地区もあり、さまざまな分野で最先端を行っている。聴覚や視覚に障害のある人が生きやすい社会をつくっていく上でも、大切な場所になってほしい」。その願いを指先に込め、発信を続ける。

 

記事のポイント! 

聴覚障害のある平嶋萌宇さんが、ろう者として初めてミス日本のファイナリストとなり、「ミス日本 ミス着物」に選ばれました。選考では手話通訳や音声認識による文字化が取り入れられ、候補者同士も手話やアプリを使って交流しました。平嶋さんの挑戦は、必要な支援があれば障害の有無を超えて力を発揮できることを示すとともに、手話の美しさや多様な人が共に生きる社会の大切さを伝えています。

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原文掲載元はこちら

 https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=1782222608602900

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