耳が聞こえない陸上選手 スタート合図はどうしてる?デフリンピック東京大会目指す大学生が伝えたい事

耳が聞こえない陸上選手 スタート合図はどうしてる?デフリンピック東京大会目指す大学生が伝えたい事

熊本学園大学3年の冨永幸佑(とみなが こうすけ)選手


2025年1月18日(土) 09:00

今年(2025年)11月、聴覚障害がある選手によるスポーツの国際大会「デフリンピック」が日本で初めて開催されます。21の競技がある中、陸上で出場を目指す大学生を取材しました。


100年の歴史「デフリンピック」とは

第23回夏季デフリンピック競技大会の様子


デフリンピックとは、「耳が聞こえない」という意味の英語「デフ」と「オリンピック」を組み合わせた造語。耳が聞こえない、聞こえにくいアスリートによる国際大会です。

1924年にパリで第1回大会が開催され、今年11月には日本初開催となる東京大会が行われます。

陸上男子100mと、4×100mリレーでデフリンピック出場を目指すのが、熊本学園大学3年の冨永幸佑(とみなが こうすけ)選手。

熊本学園大学3年の冨永幸佑(とみなが こうすけ)選手


自己ベストは10秒99。去年、世界デフ陸上選手権に出場したスプリンターです。

熊本学園大学 冨永幸佑選手(20)「今年の目標は春に行われる日本デフ陸上選手権で良い走りをして、日本代表に選ばれるように頑張りたい。100mで10秒7を出したい」


“閃光”にかける勝負
 

一般の競技ルールとの唯一にして最大の違いが、スタート。デフ大会ではランプの光を合図にスタートを切ります。

しかし…。

冨永選手「スタートランプはお金がかかるため使えません」

スタートランプ


スタートランプは3レーン分揃えるだけでも約200万円、9レーン分で約500万円と高額で、さらに、熊本でこのスタートランプがある競技場は一つもありません。そのため、合宿や大会前にしかスタートランプを使えないのです。

では、普段の練習や一般の大会で冨永選手はどのようにスタートしているのでしょうか。

熊本学園大学陸上部 濱太洋主将(2年)「冨永さんが出場する組の時はスターターがしゃがんで下に向けて打つ。光が出るんですけど、その光を見ながらスタートします」

スターターをじっと見つめる冨永選手。ピストルから出る火花を見て、飛び出します。

スターターをじっと見つめる冨永選手


冨永選手「中学校からこのスタート方法なので慣れはあると思います。ただ、スタートランプの方がスタートしやすいです。ピストルを見るだけで首が疲れる」

生まれつき、耳が聞こえない冨永選手。ろう学校中等部の時に陸上を始め、高等部の時にはろう学校の生徒で競う陸上の全国大会で2位に。更なる高みを目指して入学した大学で、初めて一般の選手と練習するようになりました。

高等部の時にはろう学校の生徒で競う陸上の全国大会で2位に


冨永選手と同学年 永椎純世選手(3年)「携帯で会話しながら手話も覚えていきつつ、そこまで違和感はなかったです」「学園大という名前を背負って活躍してくれると、自分たちも嬉しいです」


「陸上」で「手話サークル」で 伝えたい事


冨永選手は、もう1つ力を入れていることがあります。自ら立ち上げた手話サークルの活動です。

サークル活動は週に2回で、まずは手話でのコミュニケーションを楽しんでもらうことを大切にしていると言います。

自ら立ち上げた手話サークルの活動


サークルのメンバー「初心者なのでわからないですが、丁寧に口も使って教えてくれるので優しい先輩です」

冨永選手は、自分と関わることで聴覚障害への理解につながってほしいと願います。

冨永選手「差ではなくて、平等にできるように助け合いたいし、そんな社会になってほしいと望みます」


リンク先はRKKというサイトの記事になります。


 

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