佐々木延江
国際障害者スポーツ写真連絡協議会パラフォト代表
7/13(日) 11:36

男子50m平泳ぎの表彰式。右から1位・栁沢駿成(アクアプロダクト)、2位・岡田裕司(神奈川大学)、3位・星泰雅(サムティ/デフリンピック日本代表) 写真・PARAPHOTO/秋冨哲生
7月12日、横浜国際プールで「第4回 横浜インクルーシブ水泳競技大会」が開催された。パラ水泳、デフ水泳、マスターズ、健常者がポイント制により同じ舞台で競い合うこの大会で、世界水泳代表の栁沢駿成(アクアプロダクト)が男子50m平泳ぎで自己ベスト(26.95秒)を更新し、注目を集めた。

男子50m平泳ぎ決勝を泳ぎ終えた栁沢駿成(アクアプロダクト) 写真・PARAPHOTO/秋冨哲生
川崎市出身の栁沢は、レース後のインタビューで「この大会の意義については詳しく知らなかったが、横浜国際プールは普段から利用しており、泳ぎやすい」とエントリーの理由を語った。2週間後に控えるシンガポール世界選手権に向けた最終調整として出場し、「予選で26秒台が出せたことが大きな自信につながった。雰囲気も良く、刺激を得られた」と手応えを語った。
同じレースでは、デフリンピック代表の星泰雅(サムティ)も出場し、3位に入賞。障害の有無や競技カテゴリを超えた戦いが実現した。星は「世界水泳の代表と競えたことは、自分にとっても良い経験になった。11月の東京デフリンピックにつなげたい」と前向きに語った。
「ポイント制」による大会とは?
第4回になる横浜国際プールでの「インクルーシブ水泳」は、今大会から、オリンピック・パラリンピックなどの世界記録とのタイム差を基準に評価する「ポイント制」が初導入された。
- 健常・デフ選手にはWorld Aquatics(WA)ポイント
- パラ選手にはWorld Para Swimming(WPS)ポイント
これらが適用され、「一緒に泳ぐ」ことに主眼を置いたが、共通の基準で競い合うことができるようになった。今大会から共通の基準で競い合える本格的な競技形式へと進化。水泳を通じた共生社会の実現を目指す取り組みが、一歩前進した。
同プールでは、これまでもスタッフを中心にインクルーシブな大会づくりに取り組んできた。昨年はサブプールで短水路の「鈴木孝幸杯」を開催し、ポイント制の実証実験を実施。選手からのフィードバックを得ながら、今回初めて長水路での本格導入が実現した。
(写真・校正:秋冨哲生、この記事はPARAPHOTOの記事を再編集したものです。)

佐々木延江 国際障害者スポーツ写真連絡協議会パラフォト代表
パラスポーツを伝えるファンのメディア「パラフォト」(国際障害者スポーツ写真連絡協議会)代表。2000年シドニー大会から夏・冬のパラリンピックをNPOメディアのチームで取材。パラアスリートの感性や現地観戦・交流によるインスピレーションでパラスポーツの街づくりが進むことを願っている。
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