タウンニュース
町田版
公開:2025年7月17日
ろう学校選手「女子に光を」

野津田町在住で東京都内ろう学校高等部の野球部に所属する山田茉耶さん=上写真=が7月19日(土)、全国高等学校軟式野球選手権大会・都大会開会式で始球式の投手役を務める。生まれつき聴覚障害のある山田さん。「この機会を女子選手の大会出場が認められるきっかけにつなげられれば」と話している。
生まれてすぐ聴覚障害であることが判明。聴覚を補助する器具「人工内耳」を使用し生活している山田さん。幼稚園から町田市内のろう学校に通い、その小学部で学ぶなか出会ったのが野球だったという。「みんながやるから」と何気なく始めた競技だったものの、ボールが当たり、身体に青あざができることがあっても、グローブでボールを捕る楽しさに魅了されていった。友だちと一緒に白球を追う魅力にも触れながら、中等部でも続け、初の公式戦では同じろう学校のチームと対戦し11対0と大差をつけられてしまったものの、バットにボールが当たったことにみなで喜び、うまくボールを捕ることができると仲間からは歓声があがったという。「当時はピッチャーかキャッチャーを務めることが多かった。とにかく楽しかったです」と振り返る。
そして、進学した杉並区にあるろう学校高等部でも野球部に入部。規定で女子選手は東京都高野連主催の公式戦には出場できないが、男子メンバーに交じり練習に取り組み、高野連主催の試合ではベンチに入り、シートノックの補助やスコア管理などの仲間を支える役割をこの2年間担ってきた。
「全力で」
そんななか先月、始球式への参加依頼があったと聞いた。「驚いたが、挑戦しようと決めた。私がマウンドに立つことが女子選手の公式戦出場を認めてもらうことにつながるのではという思いもあった」と山田さん。以来、始球式の練習を始めたが、「ピッチャーは中学以来で不安もある。全力を尽くしたい」と笑顔をみせる。
山田さんを見守ってきた母親の奈巳さんは「茉耶は野球に取り組む時は昔から人一倍、声を出しみんなを励ましてきた。現在のチームでは選手の一人として扱ってもらっているのがうれしい」と大役を担うことが決まった娘について話す。
19日 世田谷で
都軟式野球大会の開会式は19日、世田谷区の駒沢公園硬式野球場で開かれる。山田さんが所属する東京都立中央ろう学校は昨年までメンバーが足りずに他校との合同チームとして出場することが続いてきたが、今年は単独チームとして参加できるといい、山田さんは「史上最強チーム。試合が楽しみです」と最後の夏を前に、意気込んでいる。

打席に立つ山田さん
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