
発達脳科学者
プロフィール
近年、「発達障害」といわれる子どもが急激に増えています。「発達障害」の言葉が広まった結果、大人が理解できない子、大人の期待どおりに育っていない子、扱いづらい子などが、「発達障害」ではないかと疑われていないでしょうか。「発達障害のような症状」が現れる原因はどこにあるか、今の困りごとへはどう対処するか、どう育てていけばよいか、をくわしく解説した『子どもが「発達障害」と疑われたときに読む本』から、いくつかの章をご紹介します。
前編記事<小学生の約10%が「発達障害」の可能性! でもその子、本当に「発達障害」ですか>

すぐに決めつけない。生活を見直そう
先生など家族以外から、子どもが「発達障害」ではないかと言われたら、まずは否定も肯定もせず、「そういう見方もあるのか」などと冷静に受けとめましょう。
そのうえで、どうして「発達障害」を疑ったのか、学校など外でのようすを尋ねてみます。家ではまったく思い当たることがないのに、学校では別のようすをみせる子どもも少なくないからです。

聞いた話をもとに、よく考えてみます。たとえ「発達障害」ではなくとも、子どもがなにかに困っていることは確かです。「発達障害」の症状のようにみえる言動は、そのSOS かもしれません。
「発達障害」を連想するのは
最近「発達障害」の子どもが激増しています。医学的に想定されるよりはるかに多い数字です。このなかには、本来は「発達障害」ではない子どもも含まれていると考えざるを得ません。なぜ「発達障害」を疑ってしまうのでしょうか。

■子どものためにできること
子どもが本当に「発達障害」かどうかにかかわらず、今、困っているのですから、なんらかの対応は必要です。医療を頼る前に、家庭でできることをしましょう。生活改善です。
生活の場は家庭。食事、睡眠など生活を見直し、リズムを整えるために生活改善をしましょう。「発達障害」を疑う段階では、あまり役立つ情報はネット上にはありません。子ども本人をよくみるほうが大切です。
生活改善などをおこなっても、子どもの症状が改善しない場合には、「受診・治療」を検討してもよいでしょう。ただ、受診する医療機関選びは慎重に。

規則正しい生活リズムをつくる
「発達障害」が疑われる子どもは、生活リズムがみだれていることがじつに多くあります。真っ先にとりくみたいのが、生活改善です。
生活リズムを整えるだけで「発達障害」のような症状がなくなるなどと、信じられないかもしれません。また、数字で表せるような効果がみえないせいか、敬遠されがちです。しかし、実際には、これだけで症状がなくなった子どもがたくさんいるのです。

子どもの生活改善は、3つのポイントを押さえましょう。合い言葉は「早寝早起き朝ごはん」です。
(1)朝日を浴びる
朝5~7時に太陽の光を浴びよう。窓越しの光でもかまわない。体内時計をリセットして、1日をスタート!
(2)十分に眠る
「発達障害」のような症状が現れる大きな原因が睡眠不足。現代の子どもは睡眠時間が圧倒的に足りない。睡眠の大切さを知っておこう。
(3)決まった時間に食べる
食事の時間を決めておくことは生活リズムを整えるうえで重要。とくに朝ごはんはしっかり食べさせたい。
■生活改善の例
これまで夜におこなっていたことをできるだけ朝や夕方にもっていきました。家族のだんらんは夕食時ではなく、朝食時に変更。時間的な余裕があるので、毎朝あわてずに、登園や登校ができるようになりました。

次回は、睡眠不足の解消で「発達障害」のような症状がなくなる!? 子どもの睡眠不足の深刻さと重要さを徹底解説します。5月29日公開!
小児科医・成田奈緒子が警鐘を鳴らす! その症状、本当に発達障害?
『子どもが「発達障害」と疑われたときに読む本』は5/28発売!

【本書の内容構成】
巻頭 その子は本当に「発達障害」なのか
1 まずは生活改善にとりくむ
2 子どもの発達を脳からみると
3 子どもを信じて育てる
4 信頼が成長につながる
5 大人が気をつけること
【主な対策ポイント】
*8時間睡眠では全然足りない
*早寝早起き朝ごはんのリズムを
*幼児にはスマホの情報は多すぎる
*家庭でも「あいまい言葉」を使わない
*ほめるのではなく子どもを認める
*発達のバランスをくずす言動に注意
リンク先はKODANSHAというサイトの記事になります。
