おたふくかぜの予防ワクチン 副反応で高熱を伴う無菌性髄膜炎が起こる頻度は?…日本小児科学会が大規模調査

おたふくかぜの予防ワクチン 副反応で高熱を伴う無菌性髄膜炎が起こる頻度は?…日本小児科学会が大規模調査

おたふくかぜは、時として入院治療が必要な感染症で、予防にはワクチンが有効です。日本小児科学会は昨秋、接種後の副反応に関する大規模調査の結果を公表しました。高熱を伴う無菌性髄膜炎の発生頻度は、おたふくかぜの合併症で起こる頻度より低く、引き続き子どもへの接種を推奨するとしています。(東礼奈)

おたふくかぜとは
この感染症は流行性耳下腺炎とも呼ばれます。ムンプスウイルスを含むせきやくしゃみなどの 飛沫ひまつ を吸い込んだり、ウイルスのついた手で鼻や口を触ったりして感染します。

感染から2~3週間で発症します。筋肉痛や 倦怠けんたい 感などに続き、耳下腺などの唾液腺が腫れて、痛みや発熱を招きます。

多くは軽症ですが、10~100人に1人の割合で、無菌性髄膜炎が起こります。脳を覆う髄膜の炎症で、高熱や頭痛、 嘔吐おうと がみられ、入院する例も多いです。

このほか400~1000人に1人は難聴が残るなど重い合併症が報告されています。

患者は、幼児や小学生、子育て世代の30歳代が中心です。やっかいなのは、感染に気づかぬうちに周りにうつしてしまうおそれがあることです。患者の唾液には症状が出る7日前からウイルスが排出されています。そもそも感染者の3割は症状が出ません。

流行警戒の時期
国立感染症研究所の調査によると、おたふくかぜは4~6年ごとに流行しています。直近は2015~16年でした。コロナ禍の感染対策が緩和された影響もあり、昨年から様々な感染症の患者が増えています。神奈川県衛生研究所長の多屋馨子さんは「おたふくかぜも、新たな流行を警戒する時期です」と指摘します。

ワクチンは希望者が自費で受ける任意接種です。同学会は1歳と小学校入学前の2回接種を推奨します。

大阪市の城下桃菜もな ちゃん(1歳3か月)は先月、かかりつけの小児科でおたふくかぜのワクチンを接種しました。母優子さん(42)は接種を決めた理由を「感染により難聴になる子どもがいると知り、怖いと思った」と語ります。

ワクチンの副反応で特に注意が必要なのが無菌性髄膜炎です。過去の調査では発生頻度にばらつきがあったため、安全性の評価が難しい状況でした。このため、公費の助成で無料または低額で受けられる「定期接種」とするかを決める国の議論が停滞していました。

そこで同学会は20~23年、大規模な調査を実施しました。ワクチンを接種した4万4708例のうち無菌性髄膜炎の発症は疑いの2例も含めて6例(1回目5例、2回目1例)あり、同学会は「発症頻度は10万接種あたり13・4件」との報告をまとめました。

約7500人に1人に相当します。おたふくかぜにかかって起こる割合の750分の1~75分の1でした。

学会の報告は先月、定期接種化を議論する国の専門家委員会で示されました。

調査を担当した多屋さんは「今、わが子への接種をすべきかを考える親にも役立つデータだと思う。ワクチンに関して心配な点があれば、遠慮なく小児科医に質問して接種を検討してほしい」と話しています。

リンク先はYomiDr.というサイトの記事になります。
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