デフバスケ女子日本代表、手話とは違う「指サイン」浸透に手応え…11月に東京デフリンピック

デフバスケ女子日本代表、手話とは違う「指サイン」浸透に手応え…11月に東京デフリンピック

2025/09/24 10:36
荒井秀一

 聴覚障害者のデフバスケットボール女子日本代表は、手話以外にサインを決めて意思疎通を図る「サインバスケ」を導入し、11月のデフリンピック東京大会(読売新聞社協賛)に向け、強化を進めている。

8月下旬に行われた合宿で練習するデフバスケットボール女子日本代表の選手たち

8月下旬に行われた合宿で練習するデフバスケットボール女子日本代表の選手たち


 8月下旬に北海道新得町で行われた合宿。体育館では、補聴器を外した状態の選手たちが手話や、指を使ったサイン、アイコンタクトで意思を伝え合う。声がほぼ使われないため、シューズの「キュッ、キュッ」といった音が印象的に響く。

 「練習や(デフリンピックの)試合は補聴器をつけないので、音以外の視覚に対するアプローチをまず考えないといけない。バスケの専門用語を共通認識できるサインを確認し、瞬間的にコミュニケーションを取れるツールとして使っている」。北海道帯広 聾ろう 学校の教諭でもある坂本 知加良ちから ヘッドコーチ(45)は説明する。

 デフアスリートといえども、聞こえ方は様々。健常の学校で育った選手もいれば、ろう学校卒の選手もいる。バスケットボール女子代表も手話を 流暢りゅうちょう に使う選手もいれば、デフの活動で初めて手話に触れた選手もいる。2022年に就任した坂本ヘッドコーチはこうした選手たちの意思疎通の難しさを解消しようと、約3年かけて「リバウンド」や一気にゴールに走り込む「ダイブ」などの用語を指で表現する方法を取り入れてきた。

 主将の若松優津(30)(KHD)は、司令塔の役割を果たすポイントガード。試合中、仲間に指示を出すことが重要なポジションだ。合宿中は積極的に指を使って自分の意図を伝え、「バスケは声がすごく大事。それを補うためにもみんなが理解できるサインを使っている」と話す。

 日本女子は05年の豪メルボルン大会でデフリンピックに初出場。今回が3大会ぶりの出場となる。昨年9月に豪州で開催されたアジア太平洋ろう者選手権で優勝し、坂本ヘッドコーチは「サインバスケ」の浸透に手応えをつかんでいる。

 東京大会では金メダルを目標に掲げる。「コミュニケーションという基盤があれば、何があっても簡単には崩れない」と坂本ヘッドコーチ。聞こえなくても意思疎通できる能力を武器に頂点を目指す。(荒井秀一)


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