「不自由だからこそ見える世界」 聴覚障害者が合同写真展 鎌倉

「不自由だからこそ見える世界」 聴覚障害者が合同写真展 鎌倉

神奈川県鎌倉市在住で聴覚障害を持つ徳丸弘さんと武井金史さんが1月19~22日、同市大船の鎌倉芸術館で初の合同写真展「聞こえないからこその世界がある。」を開催する。

徳丸さんと武井さんの夢は、この合同写真展を通じ、障害を持つ写真仲間との交流を広げていくこと。

「ぜひ多くの人に見てほしい」と意気込んでいる。

徳丸さんは1960年生まれ。生まれつき聴覚に障害があった。

79年から県内に移り住み、大手自動車会社でデザインを担当。

モデル造形を行うモデラーとして41年働き定年退職。

数年前から全国各地を歩き、好きな鉄道の撮影を本格化しているという。美しい自然の中を列車が走り抜けていく風情ある作品が多い。

48年生まれの武井さんは2歳の時に病気で聴覚を失った。

もともと写真のセンスがあり、69年には神奈川の聴覚障害者団体の写真コンクールで特選を受賞。

その後も数々の賞を受賞し、これまでも個展も開いてきたフリーランスのカメラマン。

日常の何気ない瞬間を独特の感性で撮り続けてきた。

「瞬間の着眼点」が今回の展示のテーマだ。

2人は、聴覚障害者と健聴者の交流を深めようと活躍する地元の手話サークルに講師で呼ばれ、知り合った。

写真好きとして意気投合。手話サークルの関係者らが支援し、実現することとなった。

聴覚障害者だからこそ、視覚をはじめさまざまな感覚を人一倍敏感に感じ取り、細やかで繊細な心象風景を捉えることができる。

耳が不自由だからこそ見える世界がある――。

こうした思いを込め、今回の展示を「聞こえないからこその世界がある。」と名付けた。

「これを機会に将来は同じように聴覚に障害を持ちながらさまざまな分野の写真に取り組み仲間たちへと輪を広げることを目指したい」と武井さん。

徳丸さんは「できるだけ多くの方に2人の写真を見てほしい」と語っている。

展示は鎌倉芸術館のギャラリー3で、午前9時半~午後6時(初日は午後1時から、最終日は午後4時まで)。

入場無料。

【高山祐】

リンク先は毎日新聞というサイトの記事になります。
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