2026年2月28日 m3.com意識調査
難聴の患者数は約1430万人(国民全体の約10%)といわれている(厚生労働省2024.10広報)。年齢にかかわらず、誰しもがなる可能性がある難聴。m3.com意識調査で難聴患者のコミュニケーション手段の一つである「手話が使えるか」について尋ねたところ、医師会員2342人から回答があった。手話スキルに関しては「全くできない」が9割だった。(まとめ:m3.com編集部)
【調査の概要】
調査期間:2025年11月29日-12月5日
対象:m3.com医師会員
回答者総数:勤務医1759人、開業医583人
※統計に基づく世論調査ではありません
Q. 聴覚障害(ろう・難聴)のある患者を診察する頻度はどのくらいですか?
「聴覚障害の患者を診察する頻度」について尋ねたところ、開業医では49.1%(286人)、勤務医では60.1%(1057人)が「ほとんどない」と回答した。

Q. 聴覚障害のある患者との主なコミュニケーション手段は何ですか?
「聴覚障害のある患者との主なコミュニケーション手段」について尋ねたところ、開業医・勤務医ともに「筆談」が最も多く、開業医83.9%(489人)、勤務医82.3%(1448人)だった。「ジェスチャーや身振り」は20%前後、また「音声認識アプリ」を使うといった声もあった。

Q. 先生ご自身の手話スキルについて教えてください。
「手話スキル」に関しては、「全くできない」が多く、開業医では90.7%(529人)、勤務医では89.4%(1573人)が回答した。「日常会話レベル」「診療に必要な会話ができる」「スムーズに会話できる」を合わせても、開業医2.2%(13人)、勤務医4.1%(72人)にとどまった。

Q. 聴覚障害など コミュニケーションの不成立により、ヒヤリハットや診療上の懸念(詳細な症状が聞けない等)が生じた経験や聴覚障害のある患者さんの対応について、ご提案などお聞かせください。
筆談でもコミュニケーションが難しい場合も
- そういう方々が医療情報をきちんと理解できるのか、まずそこから。私が大学で手話を学んだ際に、聴覚障害の糖尿病患者に「ご飯を控えること」と指導したが、ご飯=米飯ととらえ、ジャムをたっぷり塗った食パンをたっぷりとるようになって悪化したという話がある。これは単純に聞こえないからで済ませず、根本的な、読解力とか理解力に踏み込んだ方がいいと問題。それを判断するのが難しいからと放置すると先のことを繰り返すことになるでしょうし…【内科勤務医】
- 難聴ではないが、本人のみならず同席した家族もなんらかの障害があり、どんなに説明しても理解できなかった時など、筆談でもコミュニケーションが難しい場合には、誰か他の人(院内の職員)と同席してもらい、同席者の名前も含めて詳しくそのことをカルテに記載しておく。こちらの説明内容をカルテに複写(当院は紙カルテ)しながら記載して、患者に渡して、家族に読んでもらうようにすることもある【耳鼻咽喉科勤務医】
- 外陰部の痒みなど、他の患者さんには聞かれたくない内容の時などはなるべく筆談にしますが、ついつい大きな声で説明したりして、ハッと気づいてまた筆談に戻したりしています。筆談だとかなり時間がかかってしまうので大変です。アプリで話し言葉が出るものを持参される方もいますが、向こうの話は打ち込むのでやはり時間がかかります。【産婦人科開業医】
- 聴覚障害者の方は個人個人で手話の理解度や語彙の数に差があり、特に医療の説明は難しい場合が多いです。手話通訳の方はこちらの意図と違う表現で伝えていることも多いため、手話通訳さんが伝える場合は必ず声を出して通訳してもらい、何を伝えているかを確認するようにしています【内科開業医】
- これまで、手話ができる人が付き添いで来院されていたので、不自由はなかった。手話については、NHKのテレビ番組で3カ月ほど、勉強したことがあった程度です。いざとなれば、ジェスチャーでも通じないかな、と思うことがあります【消化器外科開業医】
- 目が不自由でなければ、どうせ電カルなので、PCのメモソフトを使って、文字を拡大してこちらの話は伝えます。向こうは必要あれば筆談。まあ身振りである程度分かりますが【整形外科勤務医】
耳の不自由な方で微妙に聞こえている場合、意味が分かっていなくてもなんでも「はい」、と答える方もいらっしゃることに気をつけたいです【内科勤務医】
- 手話を誰でもできるようにするのは難しいので、院内で使える筆談などを簡単にできるようなツ-ルやスマホアプリなどもあるとよい【消化器内科勤務医】
- 筆談や本人が持っていた場合は音声アプリで説明します。ただ、時間がかかって難渋します。ヒヤリハットなどはありませんが理解できているかどうかは疑問なところもあります【麻酔科勤務医】
- 国語力が非常に高い人(筆談が普通の人々)は助詞が普通に使えるが、手話にはそれがないので筆談させると、「誰が誰になにを」がわからない時がある【精神科勤務医】
- 学生時代に手話講習会に1年間通い指文字+αまで進みましたが、卒業後聾唖の患者を診ることはほとんどありませんでした。まれに診る場合は通訳者に頼り切りでした【呼吸器科勤務医】
- 音声認識アプリを試したこともあるが、全く正確ではなかったので、筆談としている。筆談は時間がかかるが、ついでに家族への説明文にもなる【血液内科開業医】
- 今までに聴覚障害者に説明することは数例で、全て同行者の手話通訳者がいました。病院スタッフにも手話通訳者が必要かもしれませんね【小児科勤務医】
- 小児科医です。3家族の方々を診察しました。主に筆談、ワープロで診療し、困った時はメールで連絡を取り合って対応しました【小児科開業医】
- 忙しい外来の合間に聴覚障害者が来院すると時間がかかるので焦るが、幸い今までのところトラブルに合ったことはありません【外科開業医】
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