高木智子2024年8月4日 10時45分
手話のショート動画を紹介するカードを県庁に持ち込んだ群馬県立聾学校の生徒たち=2024年7月5日午前11時4分、群馬県庁、高木智子撮影
手話を覚えたい人必見のショート動画「#SHUWANOWA」(手話の輪)が出来た。手話を実演するのは、群馬県立聾(ろう)学校の高等部の生徒たち。聴覚に障害がある人への理解を深めるため、県が始めた新たな取り組みで、基本のあいさつから「温泉」「焼きまんじゅう」といった群馬ならではの言葉まで、わかりやすく、楽しく伝える。
「グーにした右手をこめかみにあて、顔を少し傾けます」との音声にあわせて、男子生徒が「おはよう」の手話をしてみせる。
県が4月から動画投稿サイトYouTube(ユーチューブ)や動画投稿アプリTikTok(ティックトック)で配信を始めた動画の一コマで、20秒ほどで1単語を解説する。
県が昨年企画したところ、聾学校の高等部の生徒全員が賛同し、収録日に出席していた9人がカメラの前に立った。
「手話を覚えたい人 必見‼」「グンマーだけが知っている⁉」のジャンルでは、「おはよう」「こんにちは」などのあいさつ、「焼きまんじゅう」「榛名山」など群馬ならではの言葉を紹介。「イマドキ手話‼」では生徒らの希望をふまえて「YouTube」「LINE」など日常よく使う単語をとりあげる。
「YouTube」「デフリンピック」の回を担当した情報デザイン科2年の高橋紫(ゆかり)さん(16)は「ショート動画はすきま時間によく見るので、手話を知ってもらういい機会」と出演した。
手話にも方言やくせがあるといい、県聴覚障害者連盟の指導をうけたという高橋さん。「はっきり大きな手話」を心がけて収録に臨んだ。
配信は毎月第3日曜。3単語ずつ更新され、1年で37単語の手話を覚えることができるといい、現時点での再生回数は約1万回超だ。
もっと手話を広げたい――。高橋さんらは7月5日、手話の輪をPRするカードを県庁の生協レジに置かせてもらった。同行した1年の本多遥晶(はるき)さん(15)は「知ってもらえる機会ができて、うれしい」「世界の状況を意識した単語を、手話で紹介したい」と意欲的だ。同じく1年、林優那さん(15)も「『手話っておもしろい、楽しい』と感じてもらって、手話をやってみたい人が増えたらいいな」と語った。
ショート動画のほか、県聴覚障害者連盟による動画講座もある。手話の歴史や普段の生活などが解説されている。(高木智子)
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