柴咲コウの「THE CHANGE」インタビュー#1
2025.7.8
柴咲コウは、これまでの活動で視聴者に鮮烈な印象を残してきた。あるときはドラマで、また別のときにはアーティストとして縦横無尽に活躍。90年代から現在に至るまで順風満帆に見える彼女の人生の転機とは?【第1回/全3回】

柴咲コウ 撮影/有坂政晴
もし100人に「柴咲コウが演じた中で好きだった役柄は?」と尋ねたら、おそらくその答えはかなりバラエティに富んでいるに違いない。
ある人は『ガリレオ』シリーズの内海薫だと言い、ある人は『Dr.コトー診療所』の星野彩佳だと答え、またある人は映画『黄泉がえり』のRUIが忘れられないと言うかもしれない。
「好奇心が動く作品に出たいという思いは、ずっと変わらずわたしの中にありますが、20代は演技の技術を磨くために、さまざまな作品、役柄にチャレンジし続けました」
過去の出演作をさかのぼってみると、ここ20年は常に映画やテレビドラマで柴咲の姿を観ていたことに驚く。その上、どの作品でも彼女にしか出せない特別な魅力を役柄にプラスして、鮮烈な印象を残してきた。
「役に出会うたびに、世界が広がっていく感じがします。たとえば聴覚を失った役を演じた『オレンジデイズ』というドラマで学んだ手話は、ろうあの方ともコミュニケーションできる言語。手話の台詞はまだ覚えていますし 、もっと話せるようになりたいと今も思っています」
「わたしの視点はずっと律子でした」
さまざまな役を演じる中でやりがいを感じるのは、自分の人生では味わえないキャラクターだという。
最新作の映画『でっちあげ 〜殺人教師と呼ばれた男』の氷室律子は、まさしくそんなキャラクターだ。実際に起きた事件のルポルタージュをベースにしたこの作品の中で律子は、息子が担任教師から体罰を受けたと主張し続けるが、教師は身に覚えがないと言う。対立するふたりを中心に、物語は加速していく……。
「体罰があったのか、なかったのか……律子にとっての事実は“最愛の息子が体罰を受けた”ということのみで、それは何があっても揺るがない。脚本を読んだときから完成した作品を観るまで、わたしの視点はずっと律子でした」

柴咲コウ 撮影/有坂政晴
「わたしたちの人生は死ぬまで終わらないけれど、役として生きる時間は数ヶ月で終わるんですよね」
息子の担任教師・薮下誠一を演じるのは、綾野剛。冒頭では律子の視線で、最悪の教師として描かれるが、その後、同じシチュエーションが薮下の視線で描かれる。
「わたしは律子を演じているので、どちらのシーンも“すべてわたし(律子)が正しい”と思っていたというか、確信していました。彼女はある意味、周囲からすると難しい人物かもしれませんが、演じているときはそれすらも感じませんでしたね」
終始無表情で淡々と主張する律子は、柴咲が美しいからこそ怖く、観る側は何が真実かわからなくなる。
「わたしたちの人生は死ぬまで終わらないけれど、役として生きる時間は数ヶ月で終わるんですよね。だったら、自分の感性や態度とはまったく違う人生の方がおもしろい。そういう意味では、律子として生きた時間は特殊で、濃厚でしたね」

柴咲コウ 撮影/有坂政晴
ヘアメイク/SHIGE(AVGVST) スタイリスト/柴田 圭
・チュールレースハイネック ¥18,700-near.nippon(near.) tel: 0422-72-2279
・ドレープドレス ¥49,500-CINOH(MOULD) tel: 03-6805-1449
・シューズ ¥163,900- Gianvito Rossi(Gianvito Rossi Japan) tel: 03-3403-5564
・ピアス ¥55,000-(1つ売り価格) PRMAL support@prmal.com
・ネックレス ¥330,000-oeau(Harumi Showroom) tel: 03-6433-5395
・ダブルリング ¥34,100-/リング(右手) ¥319,000-/リング(左手) ¥101,200-
→3点ともMAYU(MAYU SHOWROOM) kohcoon@mayuokamatsu.com
柴咲コウ(しばさき・こう)
8月5日生まれ、東京都出身。2000年に出演した映画『バトル・ロワイアル』の相馬光子役で注目を集め、『GO』で第25回日本アカデミー賞・最優秀助演女優賞、第44回ブルーリボン賞・新人賞などを受賞。これまでの主な出演作は、映画『世界の中心で、愛を叫ぶ』『県庁の星』『容疑者Xの献身』『Dr.コトー診療所』、『GOOD LUCK!!』NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』、『ガリレオ』シリーズ、『35歳の少女』など。
映画『でっちあげ 〜殺人教師と呼ばれた男』
6月27日(金)全国公開
配給:東映
出演:綾野剛 柴咲コウ 亀梨和也 木村文乃 光石研 北村一輝 小林薫 ほか
https://www.detchiagemovie.jp

ⓒ2007 福田ますみ/新潮社 ©2025「でっちあげ」製作委員会
リンク先はCHANGEというサイトの記事になります。