バナー『ローワライ』

耳が聴こえなくても、喋れなくても、漫才のテッペンを目指す! 各界から絶賛の漫才漫画『ローワライ』

2026.07.11 / ほん / 記事 嶋津善之:講談社|今日のおすすめ(コミック)

バナー『ローワライ』


奇跡の第1話

第92回ちばてつや賞で、この『ローワライ』が優秀新人賞を受賞したのが’25年の5月。連載の第1話がヤンマガに掲載されたのが1月で、第1巻が4月6日発売……。
今はもう6月! もうコミックは重版がかかって、すでに売れまくってる。それを今さらレビューって、完全にタイミングを失ってるっちゅうねん! ちばてつや賞を受賞した読み切り版が、Xで公開されたときに20万いいねを獲得してて、もうお笑いファンやら漫画ファンが「いい!」「面白い!」「楽しみ!」ってさんざん褒めてて、語り尽くされとんねん。レビューなんか「#ローワライ」で検索したらええやん! それで十分やん!

そんな思いも含みつつ、レビューを書かせていただこうと思う。

奇跡の第1話の一コマ

これは、嶋と平里の大学生漫才コンビ『ローワライ』の物語。イケメンの平里(通称・ひらりん)は聴覚障害者で、ゴリマッチョの嶋(自称・しまりん)は、彼の手話通訳のアルバイトをしている(さらっと作中に触れられているが、嶋の兄が聴覚障害者のため、彼は手話ができる)。そんな嶋がひらりんに「俺と相方になろうや」と誘って、ふたりは漫才コンビを組むことになる。

さぁココだ。普通なら「俺と漫才やろうや」とか、「俺の相方になってくれや」って口説くものだと思う。でも、そうではなくて、“俺”と“相方”に“なろうや”と口説くのだ。このセリフを3回繰り返して声に出して読んでみてほしい。“俺”と“相方”、どっちが上とか下とかそういうことではなく、当然のことながら健常者と聾唖者という関係でもなく、きわめてフラットな関係を嶋は望んでいる。“俺”と“友だち” に“なろうや”なら、複数いる友だちのone of themみたいだし、“俺”と“親友” に“なろうや”なら「きっしょ!」って思っておしまい。でも“相方”は唯一無二の存在。ざ・ぼんちのおさむちゃんの横に、まさと師匠がいるように、代替のきかない “俺”と“相方”に“なろうや”ってセリフに、なんかもうゾクゾクする。

そして、ふたりは関西学生お笑い新人大会に出場する。それがどういう漫才かは「ヤンマガWeb」で第1話が無料で読めるので、今すぐクリックしてほしい。
すっごい面白い。なにがすごいのか語るのは、M-1の放送翌日に素人がネタ解説をするくらいに恥ずかしいけれど、それをおして言えば「やかましい」ところ。表情、吹き出し、構図、動き、全部がやかましい。コンビ漫才で、ひとりが一言も発しないのであれば、やかましさも1/2のはずなのに、その漫才がフルボリュームで聞こえてくる。それは映像や、小説では表現できない、漫画というフォーマットのみがかけられるマジックだ。この第1話がネットに公開されたとき、「普通に漫才として面白い」という感想が流れていたけれど、漫才のネタの完成度だけじゃダメなのだ。圧倒的な画力と誌面の構成力に支えられた作品であること。そしてもうひとつ、ヤンマガのド本流をいく絵のタッチがあってこそ、この奇跡の第1話は成立していると思うのだ。

 

記事のポイント! 

『ローワライ』は、聴覚障害のある平里と、手話ができる嶋が漫才の頂点を目指す物語です。障害を感動的に描くことを前面に出すのではなく、二人を対等な「相方」として描き、日常の会話から次々とボケとツッコミを生み出します。声を発しない漫才が、表情や構図、吹き出しによってフルボリュームで聞こえてくるように感じられる、漫画ならではの表現が見どころです。

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原文掲載元はこちら 

 https://hon-hikidashi.jp/book-person/162009/

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