耳の感染症が子どもの言語能力に長期的な影響を及ぼす可能性

耳の感染症が子どもの言語能力に長期的な影響を及ぼす可能性

要約
慢性的な耳の感染症が子どもの言語発達に長期的な影響を及ぼすことが、新たな研究で明らかになった。

この研究により、耳の感染による一時的な難聴が繰り返されると、後年、聴覚処理や言語能力の障害につながることが明らかになった。

3歳までに複数回の耳感染歴のある子どもは、語彙が少なく、音の認識や発話に関連する課題が困難であることが判明した。

この研究は、言語発達の問題を軽減するために、子どもの聴覚の健康状態を観察し、早期に治療を受けることの重要性を強調している。

重要な事実
  1. 幼児期の慢性的な耳の感染は一時的な難聴を引き起こし、その後の言語発達や聴覚処理能力に影響を及ぼす可能性がある。
  2. 3歳までに繰り返し外耳炎にかかったことのある子どもは、語彙が少なく、音の変化を認識することが困難である。
  3. 子どもの聴覚の健康状態をモニターし、速やかに治療を受けることは、言語障害を防ぎ、健全な言語習得をサポートすることにつながる。

    出典 フロリダ大学

耳の感染症は子供時代によく経験することであるが、新しい研究によれば、子供の言語発達を維持するためには、親はこの感染症を真剣に受け止めるべきであるとのことである。

というのも、耳の感染症のたびに鼓膜の奥に液体がたまり、聴覚が損なわれる可能性があるからである。

フロリダ大学の科学者による新たな研究により、耳の感染症が慢性化すると、一時的な難聴が繰り返され、数年後に子どもの聴覚処理や言語発達に障害が生じる可能性があることが明らかになった。

「耳の感染症はあまりに一般的であるため、長期的な影響はないと見なしがちです。すべての耳の感染症を深刻に受け止めるべきです。」と、公衆衛生・保健専門職大学の言語聴覚科学教授で主任研究者のSusan Nittrouer氏は言う。

「親は、自分の子供が痛みを伴わない中耳炎かもしれないことを認識し、医師と協力して子供を注意深く観察する必要があります。」

UFヘルス臨床・トランスレーショナル・サイエンス研究所の研究者であるNittrouer氏とJoanna Lowenstein氏は、幼児期に慢性的な外耳炎を患ったことのある子供とない子供の両方について、5歳から10歳までの117人の子供の聴覚処理と言語発達を調査した。

平均して、3歳までに数回の耳感染を経験した子どもは、耳感染をほとんど経験しなかった子どもに比べて、語彙が少なく、類似した音の単語を一致させるのが困難であった。

また、音の変化を感知することも困難で、これは脳の聴覚処理中枢に問題があることを示している。

Nittrouer氏によれば、両親、医師、言語聴覚士は、就学前最後の耳痛が治まった後も、子供たちを観察し続けることだという。

言語障害の中には、小学校高学年になって初めて明らかになるものもある。

「学校へ行くにつれて、子どもたちが使う必要のある言語は複雑になっていきます。」とNittrouer氏は言う。

Nittrouer氏とLowenstein氏は、言語発達と聴覚処理を評価するために3つのテストを行った。

あるテストでは、子どもたちは3人のかわいいアニメキャラクターのうち、どのキャラクターが他の2人と違って聞こえるかを検出しなければならなかった。

このテストでは、ラウドネス(振幅)の時間的変化のパターンを操作した。

「時間の経過に伴う振幅の変化をうまく認識できればできるほど、音声の構造を認識できるようになります。」とNittrouer氏は言う。

第二の課題は、提示された絵に名前をつけるというもの。

これは、言葉の発達だけでなく、読みの習得にも不可欠な作業である。

耳の感染症を早期に治療することは、言葉の発達を妨げる体液の蓄積を防ぐのに役立つ、とNittrouer氏は言う。

もし耳炎が頻繁に起こり、体液が溜まっている場合は、鼓膜に一時的にチューブを留置することで、体液を排出し、聴力を回復させることができる。

研究者らは、この研究結果を11月に『International Journal of Pediatric Otorhinolaryngology』誌に発表した。

研究者らは、早産など他の理由で聴覚の発達に遅れのある子供も含めて、この研究を続ける予定である。

リンク先はアメリカのNeuroscience Newsというサイトの記事になります。(原文:英語)
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