頭部手術タイプも
音は、空気の振動として外耳、中耳を通り、内耳にある 蝸牛かぎゅう の有毛細胞で電気信号に変えて、脳に送られます。
難聴は大きく三つに分類されます。
一つ目は、音が伝わる外耳や中耳に問題がある「伝音難聴」です。
中耳炎や鼓膜の破れ、外耳道の閉鎖などが該当します。
二つ目は、音を感じ取る内耳や聴神経などに問題がある「感音難聴」です。
先天的な難聴のほか、加齢や騒音が原因で起きる難聴があたります。
三つ目は、両方の難聴が合わさった「混合性難聴」です。
伝音難聴は、薬や手術で聴力を改善できるケースがあります。まずは耳鼻科で治療を受けましょう。
一方、感音難聴は、慢性化すると治すのが難しいため、補聴器や人工内耳で聞こえを改善させます。
一般的な補聴器は、言語聴覚士が調節した上で数か月試聴し、徐々に補聴器の音に脳を慣らします。
伝音難聴では、外耳道がふさがるなどして一般的な補聴器が使えない場合、骨を振動させて内耳に音を伝える「骨導補聴器」を検討します。
ただし、補聴器をバンドなどで頭に強く押さえつけるため、痛みや皮膚の荒れが懸念されます。
こうした課題に対応する補聴デバイスがあります。
耳の後ろにシールで補聴器を貼り付けたり、耳の軟骨を振動させたりするタイプは簡単に装着できます。
手術が必要なタイプもあります。
頭部に埋め込んだ装置で頭蓋骨を振動させる「埋め込み型骨導補聴器」や、頭蓋骨を介さずに直接中耳の耳小骨や内耳の近くを振動させる「人工中耳」です。
どちらも公的医療保険の対象ですが、他の補聴器の装用が難しいなどの条件があります。
埋め込み型骨導補聴器は、音を信号に変える外部装置と、頭部に埋め込んだインプラントをねじや磁石でつなげることで、頭蓋骨を震わせて蝸牛に振動を効率良く伝える仕組みです。
ひそひそ話も可能に
先天的な外耳道閉鎖でバンドで押さえる骨導補聴器を使っていた広島県の中学2年の女子生徒(14)は昨年12月、手術で埋め込み型骨導補聴器を装着しました。
外部装置が小さいため見た目もすっきりし、着脱も楽になりました。
「今まで聞こえなかった換気扇や冷蔵庫の音に気づいた。ひそひそ話もできるようになった」と喜んでいます。
約1200万人の難聴を自覚する人のうち、補聴器の利用者は15%だけです。
難聴を放置すると、認知症につながる恐れがあるとされます。
言葉や音が聞こえないと脳に届く情報や刺激が減り、社会的にも孤立しがちで認知機能が低下するとされるためです。
東京医療センター聴覚障害研究室長で、耳鼻咽喉科専門医の神崎晶さんは「周囲や本人がおかしいと気づいた時が補聴デバイスの使い時です。
聴力に応じた適応など注意点もあるため、補聴器相談医に相談してください」と話しています。
リンク先はYomiDr.というサイトの記事になります。