補聴器購入補助続々 高齢者向け25市町が制度

補聴器購入補助続々 高齢者向け25市町が制度

2025/10/31 05:00

さまざまな色や形の補聴器がある(熊谷市のオオシマ補聴器センターで)

さまざまな色や形の補聴器がある(熊谷市のオオシマ補聴器センターで)


 耳が聞こえにくい高齢者向けに、補聴器の購入を補助する自治体が増えている。加齢による難聴はうつ病や認知症のリスクを高めるとされており、専門医らでつくる学会のまとめでは県内の25市町が補聴器の購入補助制度を設けている。(西部悠大)


 深谷市大谷の無職男性(84)は、5年ほど前から妻の話を聞き返すことが増え、約19万円で補聴器を購入した。間もなく耐用年数を迎えるが、「以前は認知症になるのが不安で購入した。もう大金は払えない」と購入をためらっている。

 日本耳鼻咽喉科 頭頸とうけい 部外科学会の県地方部会と読売新聞のまとめによると、県内では9月時点で伊奈町や春日部市、川口市など25自治体が加齢性難聴者などを対象に補聴器の購入費を補助する制度を設けている。うち半数以上が2023年以降に補助を新設した。深谷市には補助制度はない。

 補助額は自治体によってばらつきがある。草加市は同年7月から「補聴器が必要と専門医が診断」「住民税非課税世帯」などを条件に、上限2万円の補助を開始。24年3月までの9か月間で79人が補助を受けた。蕨市では24年度に上限4万円の補助を始め、年度内に112人が利用した。


■難聴様々な危険性


 同学会など8団体が3月に発出した共同宣言では、年を取るにつれて耳が聞こえにくくなる「加齢性難聴」が「様々な身体的・社会的な問題につながる可能性がある」とし、認知症やうつ病になる危険性を指摘した。補聴器をつけることが重要とし、住民の購入を助成する自治体の割合を「80%以上」にするなどの目標を掲げた。

 世界保健機関(WHO)によると、65歳以上の成人のうち、少なくとも3人に1人が難聴と推定されている。高齢化社会が進めば、聞こえにくさに悩む人の数はさらに増える。東海大の和佐野浩一郎教授(耳鼻咽喉科学)は「自治体の購入費助成は非常に重要な動きだ」としている。


■使用「指導受けて」


 難聴の程度や原因には個人差があり、補聴器の種類も様々だ。耳栓タイプは、マスクやメガネに干渉せず、目立ちにくい。耳の裏にかけるタイプは取り外しが簡単だ。価格は10万~70万円程度という。

 熊谷市のオオシマ補聴器センターでは、認定補聴器技能者が聴力測定やカウンセリングを行った後、補聴器を無料で貸し出している。1週間ほど試してから購入するかを決めることができる。購入後も、音量の調整やクリーニングのために定期的な来店を求めている。同店を運営するサウンドパレットの池上孔規社長は、「長く使える補聴器を買うには、機種の特徴を知り、時間をかけて慎重に選ぶ必要がある」と話す。

 岡山大学病院の片岡祐子准教授(耳鼻咽喉科学)は「自分の耳に合っているのかわからないまま購入している事例が多い。補聴器の特徴を知るために指導を受けて、つけてからも慣れるまでに時間がかかることを理解してほしい」と話している。


リンク先は讀賣新聞オンラインというサイトの記事になります。


 

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