視覚と聴覚の両方に障がいがある盲ろう者と ともに避難するために...移動やコミュニケーションの実情は
石巻市に住む、盲ろう者の小山賢一(おやま けんいち)さんです。
視覚と聴覚の両方に障がいがあることを「盲ろう」と言います。
小山さんは難聴で、中途で視覚障害となり、現在は左目が光を感じる程度です。
通訳・介助員 「今、カメイ美術館の前を通ってます。」
小山さん 「はい」
盲ろう者の移動やコミュニケーションを支援するのは「通訳・介助員」です。
宮城県や仙台市に利用登録をした盲ろう者が、社会参加する時などに派遣を依頼します。
「みやぎ盲ろう児・者友の会」の会長を務める小山さん。
定期的に、仙台市福祉プラザなどで友の会の交流会や勉強会を開催しています。
みやぎ盲ろう児・者友の会 事務局長 早坂洋子さん
「小山さん、早坂です。おはようございます。遅れてすみません。」
みやぎ盲ろう児・者友の会 会長 小山賢一さん
「いえいえ、よかったよかった、よかった来られて。ありがとうございます」
難聴で、視力がほとんどない小山さんにとって、一人で移動するのはとても難しい事です。
みやぎ盲ろう児・者友の会 会長 小山賢一さん
「今、なんでここまで来られたかと言うと触れて、触れる情報がとても大切です。触れて、端々をたどりながら移動ができました。普段活動などでここの施設を10年ほど利用しておりますので、この福祉プラザの大広間という場所のトイレは触れながら、触れながら移動することができる場所です。他はなかなか難しいです。」
「盲ろう者」と言っても障がいの程度はさまざまです。2023年に開催された友の会のクリスマス交流会。盲ろう者と支援者などが集いました。
早坂洋子さん「盲ろうじゃんけん大会をやります」
そこにはいろいろなコミュニケーション方法がありました。
手話を触って読み取る「触手話(通訳)」。
話の内容を、見やすい大きさ(と太さ)の字で書いて伝える「筆記(通訳)」。
話し手が話した内容をそのまま盲ろう者の耳元で伝える「音声通訳」。
情報を受け取ったり、発信する方法はさまざまです。
みやぎ盲ろう児・者友の会 会長 小山賢一さん
「盲ろう者はコミュニケーション、それから情報を1人で自力で取る、そして移動などに困難を抱えております。ですので、まずその盲ろう者の状態、障がいの程度、コミニケーション方法など、ここを理解していただくことからいろんなことが始まる」
2023年11月。
東北大学で障がい者と災害セミナーが開催されました。
この会合に小山さんが招かれました。
震災の時に困ったことなどを話してほしいと頼まれました。
小山賢一さん
「避難所生活では盲ろう者として一番困った事は、見える方にはすぐ近くに15~20mも歩けばトイレがあるんですが、私は初めて行く環境、フロアという多くの方が避難している状況、そして周りの様子・状況も分からない状況で、自分自身の歩く動線もなかったんですね。そのためにトイレに行きたい時に行けない、それからトイレに行きたいと声もかけにくい。」
セミナー参加者
「例えば今の避難所のままで、移動が難しい方に優先的にトイレに近い場所、わかりやすい場所を割り当てるということは効果的だとお感じでしょうか」
小山賢一さん
「盲ろう者が白杖なり、それから自分の足で、あるいは壁をつたって動けるトイレまで行ける動線を確保しつつ、できるだけトイレに近い場所とか/環境認知などができれば動けるようになるかなと」
セミナー参加者
「今回の話を聞かせていただいて障がいと一言で言ってもさまざまで、それぞれ抱えている困難や不安と言うのもまた違っていると言うことを改めて感じることができました。」
小山賢一さん
「皆さんにはぜひ盲ろう者のことを気にかけていただいて、相互に情報やコミュニケーションの往復・対話ができるようになってほしいなと思います」
外出は簡単なことではありませんが、小山さんはさまざまな活動に参加しています。
通訳・介助員 「まだカメラが回っていますよ、ずっと。小山さん。」
小山賢一さん「ははは」
通訳・介助員 「左に曲がりますね」
盲ろう者の存在が、多くの人に伝わるように。
通訳・介助員 「ずっとカメラ回ってるんですよ。」
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