ガンマ波サウンドを聞くとガンマ波が誘発される

認知症予防の新アプローチ。40Hz音響技術「ガンマ波サウンド」とは

2026年7月31日

ガンマ波サウンドを聞くとガンマ波が誘発される

人間の脳の活動を表す信号を「脳波」と呼ぶ。リラックスしている時に「アルファ波が出る」と表現することがあるが、これも脳波のひとつだ。ほかにもいくつかの種類があるが、ぜひ覚えておきたいのが「ガンマ波」だ。

ガンマ波とは、記憶や注意、集中といった認知機能に関わる高周波帯の脳波を指す。中でも40Hz付近のリズムは、加齢に伴い弱まることが報告されており、認知機能との関連性の検証も進んでいる。たとえば、米国のマサチューセッツ工科大学の研究チームは、アルツハイマー型認知症の病態を再現したマウスに対し、40Hz周期の音刺激を聴かせる試験を実施。すると、脳内でガンマ波の同期が確認されたという。

この研究では、脳に蓄積したアミロイドベータの有意な減少を確認できたとしているのも見逃せない。アミロイドベータは、脳内で生成されるタンパク質の一種で、通常は一定の期間で排出されるが、これが脳に蓄積されていくと、アルツハイマー病の発症や進行に関わる主要因のひとつになると考えられているからだ。また、この不要なタンパク質の除去に関わるグリア細胞を活性化させる方法を確認できたとする点も注目に値する。

中国では、アカゲザルに40Hz周期の音刺激を聴かせたところ、脳脊髄液中のアミロイドベータが200%以上増加したという研究報告も。これは、聴覚刺激によって脳からの排出が促された可能性を示唆するものだ。近年は高齢化社会の進展に伴い、認知症患者の増加が深刻さを増しているだけに、今後の研究に期待がかかる。

脳波は周波数帯で分けられる

脳波は周波数帯で分けられる。アルファ波(8〜13Hz)はリラックス時、ベータ波(14〜30Hz)は覚醒時に見られるのに対し、ガンマ波(30Hz以上)は集中時に発生し、認知機能にも関わるとされている。

 

認知症予防の鍵を握る
聴覚機能と脳の深い関係

さて、私たちは「加齢」と「認知症」を直結して捉えるが、実はアミロイドベータは症状が現れる20〜30年前から脳内に蓄積され始めるという。だからこそ、何よりも予防が重要ということで、世界的な医学雑誌『The Lancet』による専門家委員会が報告をまとめた。これによると、認知症のリスク因子は14種類あり、これに対処することで45%は予防・遅延できる可能性があるとしている。また、全リスク因子の中でも寄与が大きいもののひとつが、実は難聴だという。すなわち、認知症の予防においては、聴覚機能の維持が優先度の高い対策となり得ることを意味している。

●14のリスク因子と寄与割合

14のリスク因子と寄与割合

〈 14因子すべて 〉
難聴/高血圧/喫煙/肥満/うつ病/運動不足/糖尿病/過度の飲酒/頭部外傷/大気汚染/社会的孤立 低教育歴/視力低下/高LDL

 

The Lancetの専門家委員会が示した認知症の14のリスク因子。すべてに介入することは困難だが、難聴は寄与割合が7%と高く、「聞こえ」への早めのケアが予防・遅延に役立つ可能性が示唆されている。

 

研究成果を日常へとつなぐ
40Hz音響テクノロジーの可能性

根治が難しい認知症領域では、発症を予防し、進行を遅らせるための多様なアプローチが求められている。そのひとつとして注目されているのが、あの40Hzの音だ。脳内のガンマ波を同期させることで、認知機能低下や脳容積の縮小の抑制などにつながる可能性が期待されているのだ。

こうした研究に着目し、ガンマ波を人工的に誘発して認知機能の改善につなげるための研究を進めてきたのが、日本のピクシーダストテクノロジーズだ。

同社では、本人だけでなく家族や周囲にも負担を強いる認知症の問題について、音響技術で解決に貢献したいという想いからプロジェクトに着手。マサチューセッツ工科大学の研究結果に着想を得て、独自の「ガンマ波サウンド」の開発に成功した。

これは、40Hz周期の音の刺激によって脳内のガンマ波の発生を誘発・同期させることを目的とした音響技術で、同社が特許を取得した「ガンマ波変調技術」※が活用されている。ガンマ波を誘発する40Hzの音の刺激を、従来の単調で人によっては不快感を伴う刺激音ではなく、できるだけ日常生活に溶け込む自然な音で取り入れることを可能にしたのだ。テレビ音声などに含まれる人の会話やナレーションはできるだけ明瞭な形を保ちつつ、BGMや背景音、効果音など音声以外の音だけを40Hzに変調するため、違和感なく聴取することができる。

※入力される音声に含まれる部分信号に40Hzの振幅変調を行って音声を加工する技術。発明名称「ガンマ波を誘発する変調音出力装置」(特許第7307929号)。

従来の方式 ガンマ波サウンド

ピクシーダストテクノロジーズ社のガンマ波サウンドは、入力音源を話し声や歌声などの音声と、BGMや背景音などに分解。音声への影響を抑えながら、後者を40Hzに変調する技術だ。

 

記事のポイント! 

記憶や注意、集中に関わるとされる40Hz付近のガンマ波を音の刺激によって誘発・同期させる研究が進んでいます。記事では、難聴が認知症の重要なリスク因子の一つとされる背景とともに、テレビの会話やナレーションの聞き取りやすさを保ちながら、BGMや背景音などを40Hzに変調する「ガンマ波サウンド」の仕組みと可能性を紹介しています。

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原文掲載元はこちら 

 https://www.biz-s.jp/tokyo-kanagawa/topics/pixiedusttech-202607/

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