飲酒量多い男性"加齢性難聴”の割合高い傾向に 1万5000人分データ解析で判明 東北大学の研究グループ

飲酒量多い男性"加齢性難聴”の割合高い傾向に 1万5000人分データ解析で判明 東北大学の研究グループ

バナー「飲酒と難聴」

2025年12月18日(木) 21:00
国内

東北大学の研究グループが、約1万5000人の大規模データを用いて、酒を飲む量と加齢性難聴の関連を男女別に詳しく解析しました。

サーバーからつがれるビール


その結果、男性は多量飲酒で難聴の割合が高くなる分析結果が得られました。忘年会シーズンですが、お酒の飲み過ぎにはご注意を。


国内の難聴者は2000万人以上

加齢性難聴は、高音域から聞き取りにくくなる感音難聴で、日常生活や社会参加に影響を及ぼします。2020年時点で約2056万人いた国内の難聴者数は、2030年には約2275万人に達すると推計されています。わずか10年で約10%の増加です。

東北大学大学院医学系研究科の香取幸夫教授、鈴木淳准教授、高橋ひより非常勤講師らの研究グループは、東北メディカル・メガバンク計画の大規模データを活用しました。

調査の対象は、2021年7月から2024年1月に標準純音聴力検査を受けた50〜79歳の参加者14,971人(男性5,376人、女性9,595人)です。標準純音聴力検査とは、ヘッドホンから流れる純音を用いて、聞こえた反応ができる最小の音の強さを測定する検査です。低音の500Hzから高音の4,000Hzまでの4周波数について測定しました。


多量飲酒で難聴の割合高く

酒を飲む量は、質問票から1日あたりの純アルコール摂取量を算出して、男女でそれぞれ6つの区分を設定しました。男性は非飲酒から1日80g以上まで、女性は非飲酒から1日40g以上までの区分です。

年齢、喫煙、生活習慣病の有無などの影響も考慮して解析した結果、男性では1日60g以上のアルコール摂取群で、生涯飲酒しない群と比較して高音域(4,000Hz)で難聴の割合が高いことが示されました。

非飲酒者の1に対し、アルコール摂取60〜80g群ではオッズ比1.42、さらに80g以上の大量飲酒群ではオッズ比1.55と、摂取量が増えるほど難聴の割合が高まる傾向が認められました。【詳しくは図①】

【図①】東北大学の発表文より 純アルコール量60gは、ビール350mL缶なら約5本分、日本酒1合なら約2.6合分に相当します。

【図①】東北大学の発表文より


純アルコール量60gは、ビール350mL缶なら約5本分、日本酒1合なら約2.6合分に相当します。


女性は難聴の割合低い傾向

一方、女性では1日10〜20g程度の飲酒群で、生涯飲酒しない群と比較して高音域(4,000Hz)で難聴の割合が低いことが認められました。非飲酒者の1に対し、オッズ比0.81でした。適度に飲む女性は、難聴の割合が低い傾向が示されました。【詳しくは図②】

【図②】東北大学の発表文より

【図②】東北大学の発表文より


純アルコール量10〜20gは、ビール350mL缶なら1本程度、ワイングラス1杯なら1〜2杯程度に相当します。もちろん、この研究結果は女性に対し適度な飲酒を勧めるものではありません。飲酒には他のさまざまなリスクが報告されているためです。研究グループは、さらに踏み込んでアルコール代謝に関わる遺伝的背景にも着目しました。


遺伝子型と難聴の関係

分解に関わる遺伝子ALDH2(アルデヒド脱水素酵素2)など、飲酒量と関連することが知られている遺伝子の多型を対象に検討しました。

ALDH2は、体内でアルコールが分解される過程で生成されるアセトアルデヒドを無害な酢酸へ分解する役割を担います。

利き猪口に継がれた日本酒


男性では、アセトアルデヒドを分解する能力が高いrs671(ALDH2)のG/G型であっても、1日80g以上の大量飲酒群では高音域の難聴を呈する参加者が多く、アルコール耐性が高い遺伝子型であっても多量飲酒により聴力低下のリスクが高まる可能性が示されました。

女性では、全体では少量から中等量の飲酒(1日10〜20g)で難聴が少ない傾向がみられましたが、rs79463616(ALDH2)の多型のタイプによっては、1日40g以上の多量飲酒群で難聴の割合が高いことが示されました。

今回の研究は、飲酒と難聴の因果関係を示すものではありません。ある時点での飲酒量と難聴の関連を示した研究結果です。今後、さらにデータ分析や研究を進め、加齢性難聴の予防や健康指導への応用が進むことが期待されます。


リンク先はtbc東北放送というサイトの記事になります。


 

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