2026年7月4日 10時15分
堀田浩一

藤原唯斗選手(左)の指文字を読む舩本樹空選手=2026年6月26日午後5時44分、島根県益田市、堀田浩一撮影
【島根】グラウンドの打球や声援は聞こえない。頼るのは、周りの部員たちの大きなジェスチャーや指文字だ。何をすべきか「みんなが教えてくれる」。
益田東の舩本樹空(じゅら)選手(3年)は、生まれつきの難聴。小学2年生の時、父親のすすめで野球を始めた。
運動は得意。中学時代は大阪の堺聴覚支援学校に通いながら硬式野球のクラブチームで投手として活躍し、複数の高校から入部の誘いを受けた。
でも、難聴が壁になった。そんななか、チームの監督らにすすめられたのが益田東だった。
益田東では、以前も耳が不自由な選手が活躍していた。2014年の夏、難聴の広中蒼磨(そうま)選手がエースを担った。チームメートが50音の指文字を覚え、ミーティングで監督やコーチが話した内容を専用の「伝達ノート」に書き込んでサポートした。
大庭敏文監督は「耳が聞こえないからと、お断りする理由はない」と舩本選手を受け入れた。同期の部員43人が指文字を覚え、日替わりで伝達ノートに書き込んでいる。
「監督から伝えられたことをちゃんと伝えるっていうのが一緒にいる自分たちの役割」と、統括責任者の藤原唯斗(ゆいと)選手(3年)は言う。
「舩本をひとりにはさせない」
舩本選手は入部当初、ほとんど言葉を発することがなかったが、いまでは練習中に「お願いします」「ありがとうございます」と、大きな声を出してアピールする。
右投げ左打ち。昨秋の県大会では左翼手として、今春は中堅・右翼手として出場した。大庭監督は「壁を乗り越える姿は、みんなを勇気づける」と話す。
強みは力強いバッティング。練習試合では計3本の本塁打を放った。「強い気持ちを持ってあきらめずに頑張りたい」
記事のポイント!
生まれつき難聴の舩本樹空選手が、仲間の指文字や伝達ノートに支えられながら高校野球に打ち込む姿を紹介しています。聞こえないことを理由に可能性を閉ざさず、チーム全体でコミュニケーションの工夫を重ねる姿から、スポーツにおける合理的配慮や仲間との支え合いの大切さが伝わる記事です。
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原文掲載元はこちら
https://www.asahi.com/articles/ASV7345ZBV73PTIB010M.html?iref=pc_ss_date_article
