「年だから多少聞こえなくても…」はNG!自分の”聞こえ”を認識して「快音生活」を送ろう【専門家が教える難聴対策Vol.31】

「年だから多少聞こえなくても…」はNG!自分の”聞こえ”を認識して「快音生活」を送ろう【専門家が教える難聴対策Vol.31】

2026.01.08 16:00

「新しい年の始まり、1月はぜひご自身やご家族の“聞こえ”について改めて考えてみて欲しいと思います」と、認定補聴器技能者で補聴器専門店を経営する田中智子さん。難聴を老化とあきらめず、なるべく聞こえやすい環境づくりや行動の工夫で、「快音生活」を目指しましょう!

耳とたくさんの?マーク

「聞こえにくい…」は放置せず、快音生活を目指そう


教えてくれた人

認定補聴器技能者・田中智子さん

田中智子さん

田中智子さん

うぐいす補聴器代表。大手補聴器メーカー在籍中に経営学修士(MBA)を取得。訪問診療を行うクリニックの事務長を務めた後、主要メーカーの補聴器を試せる補聴器専門店・うぐいす補聴器を開業。講演会や執筆なども手がける。https://uguisu.co.jp/


新年「聞こえ」を改めてチェックしてみよう

 新しい年が始まりました。年末年始、久しぶりにご家族やお友達と会ったとき、「以前よりも聞き返しが増えた」「テレビの音が大きいと言われた」などと指摘を受けて、自分の聴力が落ちていることに気づいたという人もいるのではないでしょうか。


「年なんだから仕方がない」と放置していませんか?

 定年を迎えたシニア世代の場合には「もう仕事も辞めたし、これからは人ともそんなに交流しないから」とそのままにしていると、じわじわと難聴が進行してしまうかもしれません。昨今は、難聴と認知症の関連も示唆されていますし、周囲の音が聞こえにくいことで転倒や事故など、思わぬリスクにつながることもあります。

 年も改まった1月、これまで見過ごしてきたご自身の聞こえの不調を見直してみませんか。


「快音生活」で目指すもの

 最期まで自立して生活するために、「歩くこと」や「食べること」は大切ですが、それと同じように、「聞こえること」も大切な要素です。「快音生活」を心がけ、生活の質を高めていくのがおすすめです。

 快音生活のポイントは、まず、ただ単に音が聞こえればいいのではなく、「状況に合わせて聞き取ることができ、行動が伴うこと」が大切です。

 他人からの呼びかけや、日常生活の中でさまざまな危険音に気づき、それにもとづいた行動が取れることが前提となります。

 例えば、電車の踏切の警報機音を聞いて踏切の前で止まる、自動車や自転車が近づいてくる音を聞いて、自分がいる場所が安全かどうかを判断して、安全な場所に退避する。こうした一連の行動ができることが、快音生活を送る上で必要なポイントです。

 そして、「相手の話し声を聞く」「相手に自分の話を伝える」といった会話が成り立つことも、社会とつながる上で重要なポイントです。

 聞く(聴く)ことを通じて、大切な人と交流を続けることで、生きがいを感じ、自分の価値を認識したり、自尊心を養ったりすることにつながります。


「聞こえ」のチェックをはじめよう

 高齢のご家族がいらっしゃる場合、聞こえの様子をチェックすることにも役立ちます。

「昔はよく出かけていたのに、最近は出歩いていないな」「飲みに行くのが好きだったのに最近は家にずっといるみたい」「テレビの音量がだいぶ大きくなっている」「テレビを観ていても興味がなさそうですぐに寝てしまう」など、何か気づいたことがあったら、快音生活が送れていない、もしかしたら「聞こえ」に問題があるかもしれません。

「耳鼻科に行って聴力の検査をして、補聴器をつくる」ことも解決策ではありますが、いきなり補聴器をつけるのはハードルが高いという人も多いかもしれません。まずは、生活の中の工夫でできることを探してみましょう。


「音環境」を整えるためのポイント

 まず一番重要なのは、ご自身で「聞こえの現状」を自覚することです。その際、自分の思い込みや感覚で判断せず、家族や周囲の人と会話する中で、聞こえの状態を確認できるのがいいでしょう。

 ご家族や仲のいい友人と会話をする中で、どのぐらいの声量だと聞こえないのか、会話のボリュームを探っていけるといいと思います。

「このくらいの声の大きさじゃないと聞こえない」「小さな声だと言葉の端々が聞こえないな」などと、ご自身の聞こえの状態がわかってきたら、その状態に合わせた音環境を整えていきます。音環境の調整もご家族や周囲の人の協力が欠かせません。

イラスト「会話のボリューム」

「どのくらいの音量だと聞こえるのか?」確認し合うことも大切


話しかけるときは「正面から、口元を見せてはっきりと」

 高齢者の耳元で怒鳴るように、大声で話しかけている人をよくみかけますが、音が割れてしまい、かえって聞き取りにくくなります。

 話しかける側の人も、だんだん疲れてきて会話を諦めてしまう、なんてことにもなりかねません。そのうち必要最小限のことしか話さなくなって会話が減り、家族の中で孤立してしまうということも心配です。

 耳元で大きな声を出して話すのではなく、「正面から口元を見せて、ゆっくり・はっきり話すこと」で、相手はかなり聞き取りやすくなります。

 よくあるのが、息子さんが聞こえにくくなった高齢のお母さんと話す際、ぶっきらぼうな物言いで、なかなか話が噛み合わず、お互いイライラを募らせるシーンです。

 息子さんは母親に面と向かって話すのは照れくさいかもしれませんが、年を重ねて聞こえにくくなっていくことは誰にでも起こり得ること。いずれ自分も同じ思いをするのだから、親孝行の一つだと思って、親子のコミュニケーションをしっかり取れるようにして欲しいものです。


相手に協力してもらうことも大事

 聞こえにくくなっている親の側も、お子さんや周囲のかたに「もっとゆっくり話して欲しい、もう少し大きな声で話して欲しい」と遠慮なく伝えて欲しいと思います。隠しているとどんどんコミュニケーションが取りにくくなっていきます。

 相手との関係性にもよりますが、人に甘えたり、頼ったりしていいんです。ケガをして歩けなくなったら支えが必要なように、聞こえにくくなったら、他人の力を借りて、聞こえやすいように協力してもらうことが大切です。

また、家族と同居していて「テレビの音量がうるさい」と言われた場合は、自分だけに音がしっかり届くお手元スピーカーを活用したり、字幕表示を兼用したり、自分と周囲が快適な音環境の工夫をしてみて欲しいと思います。


唇の動きで言葉を当てるゲーム

 聞こえに障害をもつかたなどが利用する「読唇術(どくしんじゅつ)」というものがあります。日頃から相手の口の動かし方に慣れるために、利用してみるのはいかがでしょうか。簡単な単語を声に出さずに、口元だけを動かして、何を言ったかを当てる“読唇術ゲーム”として、やってみるのはどうでしょうか。

「おふろ」「ごはん」など、よく使う単語の唇の動きを覚えておくと、便利かもしれません。

 このように、話しかける側・話かけられる側、双方が楽になる工夫をすることから始めてみましょう。その上で、やはりおすすめしたいのが耳鼻科での「聴力検査」や補聴器専門店で相談すること。自分に合った補聴器を使うことで、「快音生活」のレベルはグッと上がります。

「快音生活」を心がけ、音環境を整えていくことで、家族のコミュニケーションも円滑になり、ご自身にもいいことがたくさんあります。

・何度も同じ話を繰り返さなくてよくなる
・お互いのイライラが減る
・行動範囲が広がる
・表情が穏やかになる

***

 1年の始まり、聞こえの状態を自覚して「快音生活」を。いつまでも聞こえることで自立した生活を送りたいものです。

うぐいす先生

聞こえやすいように”音環境”を調整して「快音生活」を送りましょう


リンク先は介護ポストセブンというサイトの記事になります。


 

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