沖縄本島南部の同県糸満市にある「美々(びび)ビーチいとまん」では、3日朝から十数人の観光客らが海水浴や海辺の散策を楽しんでいた。午前9時前に地震が発生し、最大3メートルの津波が予想されるとして警報が発令されると、ビーチには「避難してください」と呼びかける防災無線や、ライフセーバーによる避難誘導の声が鳴り響いた。
ビーチの指定管理者によると、観光客らは終始落ち着いた様子で、10分以内に全員が近くの10階建てホテルに避難。その後、スタッフも逃げ遅れがないかなどを確認し速やかに退避した。
縄県の「津波避難計画策定指針」では津波の到達時間内に避難することが可能な場合、浸水想定区域外の標高5メートル以上の高台や避難所、ビルなどの建物に逃げることを想定している。ただ、海水浴場での具体的な対応は各ビーチの運営管理者に委ねられている。糸満市のビーチは今回、自前の避難訓練で確認した手順を実践したという。
では、海水浴中に津波警報や注意報が発令されたら、一般的にどうすればいいのか。日本ライフセービング協会の佐藤洋二郎事務局次長は、糸満市のビーチのように「防災無線を確認し、海から上がって急いで高いところに避難することに尽きる」と強調する。
だが、注意も必要だという。多くの海水浴場では緊急を知らせる放送機器が設置されているが、波の音や風向きによって放送がかき消されたり、潜水や耳栓を使った遊泳をしていて聞こえなかったりするケースもよくある。

津波フラッグを掲げて避難を促すライフセーバー=日本ライフセービング協会提供
こうした時に有効なのが「津波フラッグ」だ。赤と白の格子模様にデザインされた大きな旗で、警報や注意報が発令された際にライフセーバーらが海に向かって振り、急いで海から離れるよう呼びかける。聴覚障害を持つ遊泳者が危険を察知する手段としても効果がある。
気象庁によると、同庁などが2020年に導入し、海水浴場がある全国の計249市町村(23年6月時点、普及率61%)で使われている。ただ、糸満市のビーチでは今回、実際に津波フラッグが使われたが、意図を理解していない人もいた。緊急時に備え、津波フラッグのことを知っておくと迅速な避難につながりそうだ。
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