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公開日:2026年04月24日 更新日:2026年04月24日

難聴というと、まず思い浮かべるのは「両耳が聞こえにくい状態」ではないでしょうか。しかし実際には、片耳だけが聞こえづらい/ほとんど聞こえない「一側性難聴」の人も少なくありません。生まれつきの方もいれば、途中から片耳の聴力だけが弱くなる方もおり、その聞こえにくさや困りごとは人それぞれです。
一側性難聴は片方の耳が聞こえているため、「両側性難聴より不自由が少ない」と思われがちです。しかし、騒がしい場所で聞き取りにくい、集中しないと聞こえないため疲れやすいなど、一側性特有の困りごとがあります。生活環境や周囲の理解の程度によっても負担が変わるため、一人ひとりが異なる困難や不安を抱えながら生活しています。
静かな環境では会話に困ることが少ないなど障害の程度が軽く思われがちであり、これまで十分な調査が行われてこなかったことなどから、社会の理解や福祉制度の整備が両側性難聴より遅れているのが現状です。
一側性難聴の原因として最も多い突発性難聴は増加傾向にあります。教育現場や職場での配慮も求められるようになってきており、社会的にも重要なテーマとして注目が高まっています。
なぜ、一側性難聴になるの?
一側性難聴には、先天性と後天性があります。
先天性の原因
新生児聴覚スクリーニングの普及により、約1,000人に1人の割合で、一側性難聴が発見されるようになりました(※)。最も多い原因は内耳の形成不全ですが、原因不明の例もあります。
※)日耳鼻福祉医療・乳幼児委員会:平成29年度難聴が疑われて乳幼児精密聴力検査機関を受診した0歳児および1歳児、2歳児の社会的調査.日耳鼻121:1033-1040,2018
幼少児期発症の原因
子どもに多い原因としては、ムンプス(おたふくかぜ)があります。いわゆるムンプス難聴の多くは片耳で、2015〜2016年の流行時の調査(※)では、診断された子どもの95.5%が一側性難聴でした。
※)日耳鼻福祉医療・乳幼児委員会:2015~2016年のムンプス流行時に発症したムンプス難聴症例の全国調査.日耳鼻121:1173-1180,2018
成人発症の原因
成人で最も多いのは、急性感音難聴の代表的疾患である突発性難聴です。突然片耳の聞こえが悪くなる原因不明の疾患で、発症者数は30年間で10倍に増加。発症から2週間以内に治療を開始すると回復の可能性が高いため、早期受診が大切です。ただし治療しても回復しきらず、一側性難聴が残ることも少なくありません。
※突発性難聴の詳細については、こちらをご覧ください。
成人以降の発症原因には、ほかにもメニエール病、急性低音障害型感音難聴、慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎(しんじゅしゅせいちゅうじえん)、聴神経腫瘍などがあります。

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会のウェブサイトより転載
あまり知られていない、片耳だけの聞こえ方とは?
一側性難聴の聞こえ方は「片耳が聞こえにくい」というだけでは説明しきれません。
音が小さく聞こえる
両耳で聞こえる場合は「両耳加算効果」により、片耳より約3dB大きく聞こえます。一側性難聴ではこの効果がないため、より集中が必要です。

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会のウェブサイトより転載
音の方向がわかりにくい
両耳の聞こえの差から方向を推測する「音源定位」が難しく、どこから声がするか分かりにくくなります。

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会のウェブサイトより転載
騒音下での会話が苦手
片耳で拾った音から雑音をうまく抑制できず、騒がしい環境では特に会話が困難になります。

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会のウェブサイトより転載
記事のポイント!
片耳だけの難聴でも、「騒がしい場所で会話が聞き取れない」「音の方向が分からない」「強い集中が必要で疲れやすい」など、日常生活に大きな影響が出ることがあります。特に突発性難聴は増加しており、早期受診が回復の鍵になります。また、補聴器やクロス補聴器、ワイヤレス機器、人工内耳などの選択肢により、聞こえの改善が期待できる点も重要です。見た目では分かりにくいからこそ、周囲の理解と適切な対応が求められます。
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