早期の人工内耳移植は、先天性片側性難聴の子供の物語能力をサポートします

早期の人工内耳移植は、先天性片側性難聴の子供の物語能力をサポートします

要旨
先天性片耳難聴(SSD)は、子どもの聴覚能力に影響を及ぼすだけでなく、言語発達の遅れや学業不振の原因にもなる。

早期の人工内耳埋込みは空間的聴力の改善につながるが、言語発達への影響はあまり研究されていない。

我々の縦断研究では、SSDと人工内耳を装用した幼児の言語能力を評価した。

特に、2つの対照群(人工内耳を装用していないSSD児と両側性健聴児)と比較し、語り能力を調査した。

その結果、SSDと人工内耳を装用した子どもたちは、語りの能力と言語的短期記憶能力に関して、健聴の子どもたちと同程度の成績であった。

人工内耳を装用していないSSD児は、語りの得点(群間差=-0.67、p=0.02)と言語性短期記憶(群間差=-0.68、p=0.03)が装用群より悪かった。

言語性短期記憶得点と文法得点はそれぞれ、全群で語りの得点と正の相関を示した。

初期の文法得点(2~3歳時)は、その後の物語得点(4~6歳時)を部分的に予測することができた。
これらの結果は、プレリンガルSSDの幼児は、早期に人工内耳を装用することで、年齢相応の言語能力を獲得できることを示している。

これらの結果は、先天性SSDの幼児に人工内耳を装用することを支持するものである。

はじめに
先天性片耳難聴(SSD)の小児は、生まれつき片耳に高度聴覚障害(HI; > 90 dB HL)があり、反対側の耳は正常聴覚(NH)である。

その結果、両耳が聞こえないため、音の定位が悪く、騒音下での音声知覚が困難となる。

さらに、SSDの子どもは、平衡感覚の障害や言語発達の遅れなど、さまざまな発達障害が生じるリスクがある。

未治療のSSDは、聴覚嗜好症候群として知られる、NH耳を好む皮質の再編成を引き起こす可能性もある。

SSDの小児に人工内耳を装用することで、両耳の音知覚を部分的に回復させることができ、両耳聴が可能になる可能性がある。

人工内耳の装用は、成人の後天性SSDや小児のSSDにおいて、音の定位や騒音下での音声知覚の改善と関連している。

先天性SSDの小児では、神経可塑性の高い時期に早期に人工内耳を埋め込むことで、最適な聴覚的転帰が得られ、聴覚嗜好症候群を予防または軽減できる可能性がある。

以前の研究で、人工内耳は先天性SSD児の正常な早期文法発達もサポートすることがわかったが、言語の他の側面への影響はまだ不明である。

先天性SSDの子どもは早期言語能力が劣るリスクがあるが、SSDがその後の言語発達に及ぼす影響についてはほとんど知られていない。

一方では、片側性HIは青少年の一般的な言語スコアに悪影響を及ぼすことが示されている。

他方、早期言語発達の不良は、子どものより複雑な言語技能の習熟に連鎖的な影響を及ぼす可能性が高い。

例えば、口頭による物語の理解は、言語的ワーキングメモリ、文法、語彙、推論、心の理論など、複数の言語・認知技能に依存している。

話を理解するためには、聞き手は音声情報を一時的に記憶し、関連する構文構造や単語を抽出し、それらに意味を付けなければならない。

推論と心の理論がうまく機能することで、聞き手はある出来事がなぜ起こるのかを理解することができる。

これに対応する表現能力であるストーリーテリングにも、同様のスキルが必要である。語りの技能は、幼児期を通じて徐々に拡大し、言語の他の側面と相互に関連している。

初期の文法能力は、その後の物語能力を部分的に予測することができる22。さらに、語彙の知識は、物語理解と共有読書の両方に関連しているようである。

さらに、幼児期の物語能力は、読み書きや算数など、同時期(つまり同じ年齢で測定される)またはそれ以降の学業の達成度を予測する可能性がある。

片側性HIの子どもの語り能力に関する研究は限られている。

片側性HIの子どもは、困難なリスニング条件下での言語的な語りの理解力が低く、また表現的な語りの発達も遅れている。

一方、両側性HI児は、健聴児と比較して、語彙の多様性、形態統語の複雑性が低く、誤りも多い。

さらに、物語を読み聞かせる課題の成績も低いことが多い。

リンク先はscientific reportsというサイトの記事になります。(英文)

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