
2024.11.29
学習障害(LD)に気づいて、支えるために③後編

プロフィール
「どうして読めないんだろう?」「なんで書けないんだろう?」と、悩んでいる子はたくさんいます。学習障害(LD)とは、発達障害の一つです。読み書きや算数といった、学習の特定の分野で困りごとが起こります。
LDの特性による困りごとは、アプローチのしかたで減らすことができます。勉強がうまくいかないのは、その方法が合っていないからです。つまり、自分自身に合った方法がわかれば、その子の学習・生活面の困りごとはずいぶんと減ります。
イラスト図解で基礎からわかるLD入門書『学習障害(LD)がわかる本 気づいて、支えるために』より、連載形式で基礎知識や、困りごとに合わせた工夫を紹介します。
今回は、「聞く・話す」の困りごとと、その背景について解説。
前編<「たし算・引き算ができない」算数だけが極端に苦手なのは、学習障害の可能性が…! その困りごとの本質>

話し合いができない、指示のとらえ違いが多い
学習障害(LD)には、聞くことや話すことが苦手なタイプもあります。聞くことが苦手だと、授業中に聞き間違いや聞きもらしが多く、ミスにつながります。
例えば、「プリントが終わったら、先生に渡してから教室をでるように」と指示されても、プリントを先生に渡さずに教室からでていってしまうのです。
一見、そそっかしい性格だと思われがちですが、単なる不注意ではなく、聞いて理解することやたくさんのことを聞いて覚えることが苦手なためだと考えられます。
対して、話すことが苦手な場合は、言語理解力などの弱さが関係しています。
こうした弱さがあることで、言葉がうまくでてこず、話しているときにしどろもどろになります。また、黙りこんでしまうといったこともあり、友だちとの会話で困ることも少なくありません。
■言葉でうまく表現できない
質問に答えるときや授業でなにかを発表するときに困ってしまいます。緊張してうまく話せないというわけではありません。
聴覚情報処理や言語理解力が弱い
授業中、先生の話を聞き間違えたり、友だちとの会話をうまく聞きとれなかったりするのは、聞いて理解する力の弱さが原因です。いわゆる聴覚障害ではなく、「聴覚情報処理」のことです。
聞いたことを脳で正しく処理する力が弱いため、聞き間違いや聞きもらしが起こります。
また、「話す」ことに困難がある原因としては、言語を理解する力が弱く、結果として記憶に定着しにくいために語彙が増えないことも関係しています。
こうした「聞く・話す」の困りごとには周囲の働きかけや、環境整備の工夫があります。
■聞きとる力と表現する力が弱い
相手の話を聞いていないから間違えるわけではありません。うまく聞きとれなかったり、表現することが苦手だったりすることが原因です。

■言語理解力の弱さがある
語彙の少なさは、言語理解力が大きく影響している場合もあります。また、ADHDやASDが併存している子はその特性により話がかみ合わないことがあります。

次回は<学習障害の子どもを学びやすくサポートするためには? 本人やクラスメイトへの告知>です。12/3公開!
『学習障害(LD)がわかる本 気づいて、支えるために』は絶賛発売中!
・LDってなに? 気になること・知りたいこと
・気づいてあげたい、学習面の困りごと
・学校ではどんな支援が受けられる?
・学校で学びやすくするには
・家庭で親ができること
リンク先は現代ビジネスというサイトの記事になります。