「少しでも音を聞かせてあげたい」難病・魚鱗癬の女の子”ちーちゃん”が人工内耳の手術 訪れた変化

「少しでも音を聞かせてあげたい」難病・魚鱗癬の女の子”ちーちゃん”が人工内耳の手術 訪れた変化

RKB毎日放送NEWS
2025/09/11

「魚鱗癬(ぎょりんせん)」と呼ばれる皮膚の症状に目や耳の症状が表れる難病を患う2歳の女の子がいます。

両親は、聞こえないことによる「言葉の遅れ」に心配を募らせていました。そしてこの夏、女の子は大きな転機となる人工内耳の手術に臨みました。福岡市に住む満生千尋ちゃん(2)。

周りからはちーちゃんと呼ばれています。

ちーちゃんは生まれつき皮膚が乾燥して剥がれ落ちたり、赤くなったりする難病・魚鱗癬に、失明の恐れのある角膜炎と耳が聞こえにくい症状が重なる「KID症候群」を患っています。発症は100万人に1人と言われていて、現在確立された治療法はありませんが、人に感染することはありません。


大学病院で「人工内耳」の手術

今年6月、ちーちゃんは福岡大学病院を訪れました。CTや心電図など丸一日かけて検査を受けます。

難聴のちーちゃんはこれまで補聴器と手話を使いながら生活していましたが、より音を聞き取りやすくできるよう、「人工内耳」の手術を受けるのです。


「早く手術して少しでも音を聞かせてあげたい」

手術は、もともと去年8月に予定されていましたが、体調や検査結果などの影響で3回にわたって延期を繰り返してきました。

1歳半くらいまでに手術をした方がいいと医師に言われながら思うように手術が行えない状況に母親の雛子さんは焦りを募らせていました。ちーちゃんの母 満生雛子さん
「約1年くらい延期になっちゃったから。周りの子の話はじめてるから、最近ちょこちょこ遅れが出てるかなって。仕方ないんですけど。早く手術して少しでも音を聞かせてあげたいなと思います」


「しゃべれるようになります」

待ちに待った今回の手術。

検査結果に大きな異常はありませんでした。

「人工内耳」は音を電気信号に変換して脳に伝える装置で、耳の奥に埋め込みます。手術を担当する医師
「全身麻酔で眠っていただいて、耳の後ろを切ります。耳の後ろから頭皮にかけて皮膚切開をいれて、皮膚と皮下の組織を剥がして骨を出してドリルで骨を削ります。その空間を通じて人工内耳の電極が蝸牛にアクセスできる道を作るんですね」補聴器をつけても太鼓などの大きな音しか聞きとることができないちーちゃん。

手術により、その聴力がかなり改善されると担当医は話します。

手術を担当する医師
「(聞こえるようになるのは)ささやき声くらいと言われていますかね。ただかなり近い距離でということにはなると思うので。基本的には言葉を獲得する力が正常であれば、基本的に皆さんしゃべれるようになります」

言葉の遅れを心配していた両親。

手術への不安を感じながらもちーちゃんの変化を楽しみにしています。

千尋ちゃんの父 満生仁さん
「説明受ける前までは心配していたんですけど、話聞いて先生の感じもお願いしてよかったなと安心しています」

千尋ちゃんの母 満生雛子さん
「今よりも少しでも聞こえがよくなるように、もっと娘が過ごしやすくなるようになっていけたらいいと思うので、明日はちょっとみんなドキドキするけど頑張りたいなと思います。頑張ります。また連絡します。ありがとうございます」


およそ8時間の手術、音の刺激に反応

緊張と期待にあふれたおよそ8時間の手術は無事に終了しました。

ちーちゃんの体調にも大きな影響はありませんでした。

千尋ちゃんの母 満生雛子さん
「無事に終わりました。思っていたより痛くて泣いてとかいうのはそんなになくて」

手術から2日後、早速、人工内耳から音を聞くための調整作業である「音入れ」が行われました。「そしたら電極を1本1本刺激を入れていきますね」

ちーちゃんの反応を見ながら刺激の大きさなどを調整します。

最初はあまり反応がなかったものの・・・「何か今のは音の刺激が感じられたんだと思います」

音への反応が少し見られたことで、雛子さんにも安心感や喜びがこみ上げてきたようです。

千尋ちゃんの母 満生雛子さん
「手術するまでもいろいろ延期を繰り返していたので、一番は本当に安心した気持ちと、ここまで来られてうれしい気持ちと、1回だけ音の刺激に反応してくれたので、もう純粋にうれしかったです」


「ゆっくりでいい、焦らないでいい」曾祖母の言葉

手術からおよそ10日。

退院して保育園にもこれまで通り通うようになったちーちゃん。

少しずつ変化が表れています。

千尋ちゃんの母 満生雛子さん
「補聴器って基本的に前から顔を近づけて話しかけてあげていたんですけど、人工内耳になってから前じゃなくても横やったり、後ろから『ちーちゃん』って言ってもピクッて反応したりするからすごい全然違うよね」

一方で、まだまだ不安に感じることもあるようです。

千尋ちゃんの母 満生雛子さん
「自分の声のボリュームの調節はまだ全然難しくて、叫んでしまうみたいな感じが。きのうもお店にご飯食べに行ったんですけど、本人はなかなか自分の声の大きさが分からないからずっと叫んでいました」

ようやく実現した今回の手術。

ちーちゃんの聴力に大きな変化を感じた両親は、これから少しずつ人工内耳の効果が表れていくことに期待を寄せています。千尋ちゃんの母 満生雛子さん
「これから言葉を覚えて話せるまでどれくらいかかるか分からないんですけど、ちょっと頑張っていきたいなと思いました。ちーちゃんのひいおばあちゃんがこの内耳つけたとこを見せたら、『ゆっくりでいい、ゆっくりでいい。焦らないでいい、焦らないでいい』みたいなことを言ってくれて、それがすごくうれしくて、時間かかっても焦らずこの子のペースでいきたいなと思っています」

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https://newsdig.tbs.co.jp/articles/rk...


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