
函館市の会社員、桜庭まどかさん(36)が、12月1日からマレーシアで開かれるボウリングの第10回アジア太平洋ろう者競技大会に日本代表選手として出場する。来年11月に東京で行われる4年に一度の聴覚障害者の国際スポーツ大会「デフリンピック」への出場とメダル獲得が夢であり目標。「応援してくれる家族や会社の人たちのためにも良い成績を残したい」と闘志をみなぎらせ、代表の座を目指し勝負の1年に挑む。
桜庭さんは函館市出身で、聴覚に障害を持つ。アマチュアのボウリング選手として活躍する姉の影響と、デフリンピックの種目にボウリングがあることを知り、2017年夏から本格的に競技を始めた。市内の生命保険会社に勤務しており、仕事の後に練習に励んでいる。
めきめきと力をつけ、21年のデフリンピックブラジル大会では代表の座を射止めた。ただ、新型コロナウイルスの影響で22年に延期。その大会もロシアのウクライナ侵攻の影響で、世界的に物価が高騰。会場が建設できないという理由で、ボウリング競技だけが中止になった。
失意の中にいたが、気持ちを切り替えて25年の東京大会を目指すことに。「ものすごく悔しかった。次こそは絶対に出たいと強く思った」と振り返る。
昨年8月にはドイツ・ミュンヘンで行われた世界ろう者ボウリング選手権に出場し、女子チーム戦で銀メダル獲得の原動力になった。「厳しい試合の連続だったが、メダルを取れたのでとてもうれしかった」
現在は週に2、3回、1日に6~10ゲームをこなし腕を磨く。「試合をイメージしながら投げて、レベルアップを図っている」という。
23、24日に名古屋市で開かれる全日本デフボウリング選手権に出場した後、29日にマレーシアへと旅立つ。自身2度目の国際大会で、個人戦、ダブルス、4人チーム戦の3種目に出場する。「アジアでは韓国が強敵。いま調子は上がってきているので、練習通り投げることができれば良い結果を出せるはず。気持ちを落ち着かせて投げたい」と意気込む。
小学4年生の男児の母親で、子育てと競技を両立させる。息子から「来年一緒に東京に行くためにも頑張って」と声を掛けられ、応援を力にしている。桜庭さんは「東京デフリンピックに参加することが大きな夢。特別な思いがある」と大舞台を見据える。
昨年、ドイツから帰国後、母校の函館聾学校を訪れ、後輩から祝福を受けた。障害を持つ子どもたちに頑張る姿を見せ続けたいと考えている。「努力すれば夢はかなうことを後輩たちに伝えたい。そのためにももっと頑張らなければ」と力を込めた。
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