2025年10月9日 19:55
11月東京で初めて開催される、ろう者のためのオリンピック「デフリンピック」。
家族のため、児童のため、メダルに向かって奮闘する鳥取県出身選手の思いに迫ります。
ぐんぐん伸びる、強烈なティーショット!
豪快なスイングから繰り出される飛距離が持ち味の前島博之選手です。
前島さん
「ま、私は飛ばすことは誰にも負けないのでがんばります」
前島さんは、生まれつき耳が聞こえません。
そんな前島さんが今回出場を決めたのは…
英語で耳が聞こえないを意味する「デフ」とオリンピックをかけあわせた「デフリンピック」。
ろう者が目指す世界最高峰のスポーツ大会です。
100周年の記念すべき今年、初めて日本で開催されます。
この日前島さんが行っていたのはデフリンピックに向けた練習。
前島さん
「アンダーパーで回るのが目標です」
デフゴルフのルールは一般的なゴルフ競技と同じ。ボールをカップに入れるまでの打数の少なさを競います。
しかし、ろう者ならではの難しさが…
前島さん
「耳が聞こえないから風の音とか平衡感覚がわからなかったりとか色々難しいところがあります」
本番では補聴器を外し全員がほぼ無音の状態でプレー。
ボールの行方を左右する風の音を聞けないため旗や木の揺れなど視覚情報を頼りにスイングしなければならないのです。
鳥取市出身の前島さんは生まれつき耳が聞こえず、ろう者の両親のもとで育ちました。
幼いころから運動が好きで、高校時代は鳥取聾学校の陸上部に所属。
走り高跳びや十種競技で過去3回デフリンピックに出場しましたが、けがで断念。
そこで趣味でやっていたゴルフに転向。
去年の日本デフゴルフ選手権で優勝、世界デフゴルフ選手権でも6位という成績を修めたことから、ゴルフ競技でデフリンピック出場を決めました。
前島さん
「今回の東京デフリンピックでゴルフに出ることが決まって、その時は絶対にメダルを取りたいという気持ちが芽生えてきました」
どうしてもメダルがとりたい思いにはわけがありました。
現在は鳥取市で妻と二人の子どもと暮らしています。
妻・奈美さん
「これが2013年のブルガリアです。でこっちが2017年のトルコで金メダルを取りました」
実は妻・奈美さんもデフリンピアン。
バレーボール女子でデフリンピックに出場し2013年に銀メダル、2017年には金メダリストに輝いているのです。
前島さん
「メダルがないな、パパはまだメダルがない」
Q.メダル欲しいですか
「メダルがないのでほしいです」
妻・奈美さん
「夫婦でメダリストになりたいなっていう気持ちもちょっとあります。なのでぜひとってもらいたいなって」
そんな前島さんの強みは・・・
前島さん
「遠くに飛ばすことは私にとっては得意です。飛ばすことが好きだからかな?」
とにかく遠くへ飛ばすロングショット。
陸上現役時代に鍛えた筋肉をいかしティーショットは300ヤードを超えます。
一方で課題も・・・
前島さん
「アプローチはちょっと苦手な部分があるけど、いまは練習を頑張っています」
苦手なのは短い距離から打つ“アプローチ”。
この日はデフリンピックに出場するライバル、渕暢之さんと一緒に練習。
前島さん
「いつも渕さんはアプローチが上手だから私が失敗したら時々教えてくれます」
コーチのいない前島さん。ほかの選手とも協力しながらデフリンピックまで日々練習を重ねているのです。
そんな前島さんは普段、鳥取聾学校で教師をしています。
前島さん
「跳び箱をします。体育は得意です、専門は体育なので得意です」
聾学校の子どもたちにとって世界で活躍する前島さんは大きな希望を与える存在。
自分がデフリンピックに出ることで夢に向かって頑張ることの大切さを伝えたいといいます。
児童
「面白い先生です」
「ゴルフがすごいです。メダルをとってほしいです」
家族や、聾学校の子どもたちの思いものせて今年のデフリンピックに挑戦する前島さん。
一番の原動力は…
前島さん
「目標はメダルをとって子どもたちに見せてあげる、自分の子どももそうですし、耳が聞こえない子供たち聾学校に通ってる子どもたちも私を見てもらって、夢や目標に向かって頑張ってほしいということを伝えるために私は頑張れるので、これからも頑張っていきたいと思います」
デフリンピックのゴルフ競技は11月18日から東京で開催。悲願のメダル獲得へ前島さんの挑戦が始まります。
最終更新日:2025年10月9日 19:55
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