補聴器ブローチでPR 山形の店あすから配布 マイナスイメージ払拭を

補聴器ブローチでPR 山形の店あすから配布 マイナスイメージ払拭を

補聴器の形をモチーフにしたブローチを、山形市七日町の「補聴器本舗やまがた」などが作製した。補聴器のマイナスイメージを 払拭ふっしょく し、幅広く親しんでもらうのが狙い。「補聴器の日」である6日から、同店で来店客に配布する。(山田優芽)

■「隠すもの」ではなく

ブローチはレジン(合成樹脂)製で、補聴器の形を模して丸みがあり、中には大小のドライフラワーがちりばめられている。サイズは標準的な補聴器に近く、長さ3センチほどだ。

補聴器をモチーフにしたブローチ(手前の三つ)と補聴器(億の三つ)の写真
補聴器をモチーフにしたブローチ(手前の三つ)。奥は補聴器

発案者の同店代表、庄司渉さん(55)は、補聴器も扱う宝石店に勤めた後、2017年に独立した。その際、市の経営支援機関の担当者から「補聴器をおしゃれなものとして見せてはどうか」という助言を受け、共感した。

補聴器をモチーフにしたブローチを持つ庄司さんの写真
補聴器をモチーフにしたブローチを持つ庄司さん(4日、山形市で)

だが、接客すると、「周りから見えないように補聴器をつけられるか」を気にする顧客が多かった。補聴器は本来、難聴者が不自由なく生活するために欠かせないものだ。「隠すもの」というイメージを覆し、「補聴器に対して明るい印象を持ってほしい」と考えた。

庄司さんは、補聴器をモチーフにしたアクセサリーを作れば、あまりなじみがない人も補聴器に親しみが湧くのではと思いついた。


■ハチドリを連想

作り手を求めて、ハンドメイド作品を展示・販売する「cube story」(同市七日町)に飛び込んだ。そこにあった透き通るような小さな鳥の置物が、おしゃれで大人っぽく、まさに求めていたデザインだった。店を通じ、「kochiyuki」の作家名で活動する作り手の小口由貴さん(39)(同市在住)に依頼した。

小口さんは22年から趣味でレジン作品を作ってきたが、補聴器には触れたこともなく、耳の後ろについているものという印象しかなかったという。「補聴器のようなブローチ」と言われても想像がつかなかった。

仕事があるため依頼を断ろうかとも考えた。しかし、庄司さんとの電話で聞いた「補聴器がハチドリを連想させるかわいい形に見える」との言葉が、作品のイメージを一気に膨らませた。

補聴器を模して型を作り、着色したレジンの上にドライフラワーを並べ、透明なレジンで覆った。鳥の羽根らしさを表現するため、花びらの多い花を選んだ。小口さんは「コロッとした形が気に入っている。良い作品が作れたと思うので、楽しんでいただけたら」とほほ笑む。


■所有率15%

「6」の形を向かい合わせると耳に見えることから、日本補聴器工業会などが6月6日を「補聴器の日」としている。「補聴器本舗やまがた」ではこの日、「さくらんぼレッド」「樹氷ホワイト」「芋煮ブラウン」の3種類のブローチを用意し、相談者(要予約)に配布する。各種3点で、なくなり次第終了。ブローチだけが欲しい場合にも、税込み1100円で販売する。

日本補聴器工業会の調査(2022年)によると、難聴を自覚する人の中で、補聴器を所有する人の割合は15%ほどだ。53%の英国など、欧州各国と比べると所有率は低い。庄司さんは「難聴状態を放置すると、聞き分けられる言葉が減っていき、どんどん補聴器の効果を感じにくくなってしまう。ブローチをきっかけに、早めに相談に来てほしい」と呼びかける。

問い合わせは同店(023・687・0141)へ。

リンク先は讀賣新聞オンラインというサイトの記事になります。
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