離れていても、ひとりじゃない|ろう難聴児向けオンライン支援制度化へ

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#社会にいいこと #子ども・教育 #医療・福祉 #マイノリティ
NPO法人Silent Voice

2024年10月14日 15:01

「安心してたくさんおしゃべりができる、ぼくにとって大切な時間だ。」利用者さんの作文をご紹介します!

皆さま、応援ありがとうございます!
ろう難聴児向けオンライン教育事業「サークルオー」の責任者の日下です。

本日は利用者さん青木透馬(とうま)くん(小3)の作文「さき先生に感謝」をご紹介します。

透馬くんはアメリカ在住で、4年間サークルオーを利用しています。
透馬くんにとって、サークルオーの先生はどんな存在?サークルオーの授業はどんな時間?
利用者さんの生の声をぜひ読んでみてください。


さき先生に感謝
                               青木透馬

 「今日で百九〇回目のじゅぎょう。」
 さき先生との週一回のオンラインレッスンはこの言葉で始まる。この数字を聞くと、たくさん勉強したなあと、ほこらしい気持ちになる。
 ぼくは五さいの時に父のてんきんでマレーシアへひっこしたり、八さいの今はアメリカにいる。さき先生はそんなぼくに四年間ずっと日本語の言葉の授業をしてくれた。さき先生はいつもやさしくて楽しい。クイズやことばビンゴなど、ぼくの好きなあそびをしてくれる。クイズがむずかしいというと、どうやってといたらいいのか教えてくれる。耳だけでは聞こえにくいから、文字がびっしりのしりょうをたくさんじゅんびして、画面に共有してくれる。さき先生との一時間は、いつもあっという間だ。
 ぼくがアメリカへいくことになったとき、日本語の勉強をお休みして、しばらく英語を教えてくれた。今でも英語がわからなくてつらいこともあるけれど、先生と勉強したおかげで、現地校のおともだちや先生の話も分かるようになった。英語けんていや日本語けんていにも合格した。アメリカと日本は時差があるけれど、ほうかごに友だちと遊べるように時間を調節してくれたり、「今日はどんなことがあったの?」と沢山話を聞いてくれる。毎月先生がくれるお手紙を読むと、「来週も学校をがんばろう」という気持ちになれる。毎週のレッスンは、今まで勉強してきた日本語を忘れないためだけでなく、安心してたくさんおしゃべりができる、ぼくにとっての大切な時間だ。
 この四年間、先生に一度も会えたことはないけれど、世界のどこにいても近くにいるように思える。ずっといっしょに勉強してきてくれたさき先生とのレッスンはもうすぐ二百回だ。三百回、四百回になる時には、ぼくはどこにいるのだろう。ずっといっしょにいてくれるといいな。いつか、本当のさき先生に会えた時には「ありがとう」のお手紙をわたしたい。

青木透馬(とうま)くん(小3)の作文「さき先生に感謝」


透馬くんのお母様からのコメント

【サークルオーとの出会い】

生まれながら難聴で、赤ちゃんの頃から言葉の療育を受けてきた息子が幼稚園の年中の時に、マレーシアへの引っ越しが決まりました。それまで日本で一生懸命に療育を受けてきたのに、日本語から遠ざかっていいのだろうかと、大きな不安を抱いていたました。そんな時、オンラインで、難聴の子どもに必要な1対1のことば学習ができる「サークルオー」をみつけ、問い合わせたのが始まりでした。オンライン塾は他にも色々とありますが、難聴の子ならではの学習やコミュニケーションの困難さを理解できる方からの適切なアプローチが必要だと考えていました。


【さき先生との嬉しかったエピソード】

もともとおしゃべりな性格の息子は、話が盛り上がって授業内容からしょっちょう逸れてしまいますが、さき先生はそんな会話から子供の“好き”を透かさず拾って、次のレッスンの題材にしてくれたり、資料にキャラクターを入れてくれたり、楽しく勉強する工夫をふんだんに盛り込んでくれます。こちらから説明力を磨きたいと相談した時には、まるでニュースキャスターのようにインタビュー形式の授業をしてくれたり、一緒に新聞記事を完成させたり、あえて録画してみたり。気づけば大物気分でノリノリで答える息子の姿がありました。

また、アメリカへの引越しで英語の習得が最優先事項になった時にも、先生は次の週から英語レッスンに急遽切り替え、英検を一つの短期目標とすることを薦めてくれました。先生の前向きな声掛けや応援のおかげで、本人のやる気も一気に加速し、その流れで日本語検定も受験し、どちらも合格。これらの成功体験を通して本人にも自信が芽生え、不安な海外生活への第一歩として道が開けたような気がしました。今思えば、現在のアメリカ生活の土台となった本当に大切な時間でした。


【さき先生は透馬くんにとってどんな存在ですか?】

さき先生に担当していただくようになり、4年になろうとしています。その間、マレーシアから日本、そしてまたアメリカへの引っ越しがありました。環境がめまぐるしく変わる中で、ほぼ毎週さき先生とレッスンを続けてこられたことは、子供にとっては「だって楽しいもん」の一言に尽きるのでしょうが、心置きなく日本語で話せる貴重な時間が、まさに心の安定剤になっていたのだと思います。息子とは「先生は世界のどこにいても見守ってくれた伴走者だね」と、よく話しています。


【サークルオーはどんな場所ですか】

 サークルオーは私たちにとって、難聴でも、海外にいても、安心して必要な援助を受けられる、まさに痒い所に手が届く強力なサポーターです。その時のその子のニーズに合わせて、必要な教育を、柔軟に提供してくださることのありがたみを感じています。

 「努力は必ず報われる」と、本人が思えるような成功体験を沢山積んでいけたこと、チャレンジする意欲を持てた事、そしてその裏にはいつもさき先生という素晴らしい助っ人がいたことにとても感謝しています。

オンライン授業を受ける透馬くん
日本語検定時事通信社賞優秀賞の表彰状を持つ笑顔の透馬くん


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