【2027年に完全移行】日本言語聴覚士協会が「生涯学習プログラム」改定

【2027年に完全移行】日本言語聴覚士協会が「生涯学習プログラム」改定

2025.12.05

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2027年に向けて、日本言語聴覚士協会(以下、ST協会)の生涯学習プログラムが大きく変わろうとしています。

「なんとなく耳にしたけど、詳しくはまだ調べていない…」という方も少なくないのではないでしょうか。

この記事では、現在公表されている情報をもとに、変更点やスケジュールをわかりやすく整理しました。

何から確認すればいいか迷っている方は、この記事に目を通してみてください。


生涯学習プログラムの変更点6つ

ポイント制から単位制に変更
ST協会の生涯学習プログラムは、従来「基礎プログラム」と「専門プログラム」に分かれており、それぞれの修了要件として「講座の受講+ポイントの取得」が必要とされてきました。

従来の生涯学習プログラム

引用:一般社団法人 日本言語聴覚士協会「新・生涯学習プログラム」


今回の改訂では、ポイント制度は、「単位制」へと変更になります。

たとえば、初級講座では1時間あたり1単位、中級・上級講座は2時間で2単位といったように、受講時間に応じて単位が付与される仕組みです。

また、学会への参加や職能団体での活動なども対象に含まれ、それぞれの活動内容に応じた単位が認定されるようになります。


初級・中級・上級講座に再編
2027年度から始まる新しい生涯学習制度では、講座が「初級・中級・上級」の3段階に再編され、自分のレベルや目的に合わせて、講座を選びやすくなります。

また、講座の受講には制限はなく、経験年数を問わず、どの講座でも受講が可能となります。各レベルには到達目標が明示され、それに沿った講座が整備されます。

「初級・中級・上級」の3段階に再編

引用:一般社団法人 日本言語聴覚士協会「新・生涯学習プログラム」


ハンズオンセミナーを新設
新制度には、実技を通じてスキルを学べる仕組みも取り入れられており、それが「ハンズオンセミナー」です。

このセミナーでは、模擬症例や機器を使って、実際の臨床に近い環境で実技を学ぶことができ、すでに開催も始まっています。


学会講座も単位に認定
新制度には、学会内で行われる講演や講座の一部が、生涯学習プログラムの「活動単位」として正式に認定されるようになります。


学生会員向け講座を開講
ST協会では、「学生のうちから研究や臨床、社会的な活動に触れておくことが、将来の専門性の土台になる」といった考えをもとに、2016年に学生会員制度を創設しました。

学生向け講座の開講は、そうした方針に沿った支援体制のひとつといえます。


専門言語聴覚士を新設
専門言語聴覚士とは、従来の認定言語聴覚士よりもさらに高い専門性と実績を備えた、新たな資格です。

専門言語聴覚士は以下のように定義されています。

”専門言語聴覚士とは
ある特定の言語聴覚障害領域において高度な専門知識を有すると共に、その専門知識を用いて臨床・研究・教育を担い、これによって社会に貢献していること、また後進の育成と学問の発展に継続的に寄与している認定言語聴覚士であり、日本言語聴覚士協会における所定の審査を受けて合格したものを指す。

引用:一般社団法人 日本言語聴覚士協会「新・生涯学習プログラム」


申請には、以下の要件が設けられる予定です。

● 修士以上の学位 または 査読付き論文2本
● 認定言語聴覚士資格の取得と更新
● 10年以上の実務経験
● 事例報告3例の提出
● 後進育成や社会貢献の実績の証明

これらの条件からも、専門言語聴覚士は、専門知識と経験を活かして臨床・研究・教育に継続的に取り組む認定言語聴覚士を対象とした、より高い専門性を認定する制度であることがわかります。


なぜ生涯学習プログラムは改定されるのか

ST協会は、今回の制度改定について、次のように説明しています。

近年、言語聴覚士の職域は拡大し、より高度で信頼性の高い専門的知識と技能の提供が社会から求められています。社会の急速な変化と言語聴覚士に求められる社会的要請を背景として、本協会では、会員の研鑽をさらに支援し、言語聴覚療法の専門性の向上を図るために、生涯学習プログラムを改訂しました。

引用:一般社団法人 日本言語聴覚士協会「新・生涯学習プログラム」

このような背景のもと、新しいプログラムでは以下の4つを基本方針としています。

【改定の4つの方針】
1. 会員の自己研鑽を支えるプログラムであること
2. 多くの会員が受講しやすいこと
3. 多様な学び方・活動ルートに対応していること
4. 定期的な見直しと改善が行われること

これらの方針に沿って、学びの過程を「単位」として可視化しやすくする仕組みや、実践的な内容を評価に反映する制度設計が進められています。

今回の改定について、同協会の内山会長、菅野副会長より下記のコメントをいただきました。

■生涯学習部からのコメント
「言語聴覚士のプロフェッションは、長い期間をかけて醸成されていきます。一人一人の言語聴覚士の学びを後押しできるよう、これらかもより良い生涯学習プログラムの構築に努めてまいります」
(副会長 菅野倫子)

■本協会は、生涯学習プログラムの改定を通じて、言語聴覚士の専門性をより体系的に高められる教育基盤の強化を図ります。現場からのニーズに応える研修体制を充実させ、国民の皆さまに安心していただける質の高い言語聴覚療法の提供に努めてまいります。
(会長 内山量史)

 

新プログラムはいつから開始される?

新しい生涯学習プログラムは、2025年度から段階的に導入され、2027年度に完全移行となります。

また、これまでに取得したポイントや活動記録も、「単位」への読み替えにより引き継がれます。

新しい生涯学習プログラムの移行時期

引用:一般社団法人 日本言語聴覚士協会「新・生涯学習プログラム」

 

制度改定に向けて、今できる準備は?

生涯学習プログラムの改定は、2027年からの完全移行に向けて、すでに段階的に始まっています。

すでに取得しているポイントや受講履歴も引き継がれるため、「今からでは間に合わない」ということはありません。

● 取得ポイントの確認
● 自分はどのような言語聴覚士を目指すのか

といったことを一度整理しておくと、今後の学びをスムーズに進めやすくなります。

気になる方は、ST協会から発信される今後の情報もあわせてご確認ください。

新・生涯学習プログラム開始(ST協会)

引用・参考
新・生涯学習プログラム開始 ―あなたの学びたい!を応援します―(日本言語聴覚士協会HP)


リンク先はPT-OT-ST.NETというサイトの記事になります。


 

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