「あれはなあに?」「これはなあに?」子どものことばの成長期〝なになに期〟にどうかかわるのが正解?【言語聴覚士・奈々先生に聞いた】

「あれはなあに?」「これはなあに?」子どものことばの成長期〝なになに期〟にどうかかわるのが正解?【言語聴覚士・奈々先生に聞いた】

2025.9.10

イラスト「あれ、なあに?」と母親に聞くこども

「あれ、なに?」「これ、なに?」?と親が質問攻めになる2歳後半から始まることばの「なになに期」。子どものことばの成長期と言えるこの時期、親はどんなことに気を付ければいいのでしょうか。ことばの発達についてのお悩みや、ことばの練習のアイデアなど、「ことばを育むお手伝い」をする言語聴覚士・寺田奈々さんに教えていただきました。


「なになに期」ってなに? 何歳頃に始まるの?

お子さんが「これなあに?」「あれなあに?」と、ものの名前を何度も尋ねてくる時期。育児の中で「また同じ質問…」と感じることもあるでしょう。この「なになに期」は、ことばの獲得においてとても大切な時期であり、子どもの成長を示すサインでもあります。

「なになに期」は、一般的に2歳後半〜4歳頃に多く見られます。

 ・2歳後半:語彙が増え、「これなあに?」と指差して質問するようになる
 ・3歳前後:好奇心が旺盛になり、次々に質問して知識を広げる
 ・4歳頃:知っていることもあらためて質問し、会話ややり取り自体を楽しむ段階へ

ただし、言語発達には個人差があり、2歳前から始まる子や、4歳以降も続く子もいます。「質問が多い=発達が順調」というサインでもあるため、焦らずやり取りを楽しむことが大切です。


ものには名前がある!という大きな気づきがある時期

イラスト「ブーブー」とおもちゃの車で遊ぶこども

「なにー?」「ブーブーだよ」と答えるやり取りを何度も繰り返していると、「もう分かっているんじゃないの?」と思うこともあるでしょう。でも、実はそのやり取り自体が楽しくて、親子の会話のキャッチボールを楽しんでいるのです。質問できる力は、知識や情報を自分から得るための土台にもなります。

ものには名前がある!子どもの頭の中のことばマップの拡大期

「なあに?」の質問攻めは、一見すると一問一答の繰り返しに思えるかもしれません。ですが、子どもはことばを単独で覚えるのではなく、やり取りの楽しさやそのときの場面・状況(シチュエーション)と一緒に吸収していきます。親子でやり取りしながら、頭の中の“ことばマップ”を少しずつ広げているのです。

「なになに期」は、「ものには名前がある」という当たり前のことに気づく時期でもあります。これは語彙を網目状に増やすための土台づくり。ことばを知りたい気持ちが高まることで、さらに質問が増えていくという好循環が生まれます。


「質問できる力」がことばの獲得を後押しします


「なあに?」と質問できるようになると、ことばの知識や情報を自分から得る力が育ちます。これは受け身で聞いているだけでは身につきにくい、能動的な言語獲得のプロセスです。
 質問できる力は、

自分の疑問をことばにする力
答えを理解し、語彙として取り込む力
を育てます。このサイクルを繰り返すことで、語彙が増えるだけでなく、考える力やコミュニケーション力の発達にもつながります。


「なあに?」があまり出ない子には、質問の仕方を教えてあげましょう

イラスト「これ、なあに?」と母親に聞く女の子

「なになに期」をさらに育てるために、質問の仕方を自然に伝えていくこともポイントです。

絵本や図鑑の絵を指差し、こちらを見たときに「なあに?」と声を添えてあげる
袋から何かを取り出すときに「なにが入ってるかな?」と一緒に言ってみる
このように、日常の中で「質問することば」を使う場面をつくることで、次第に質問力が身についていきます。


ていねいに付き合うことでことばの世界は広がります

「なになに期」は、親子のやり取りを通してことばを吸収する大切な時期です。面倒に感じるときもあるかもしれませんが、このやり取りの積み重ねが、語彙の増加や質問力、ひいてはコミュニケーション力を育てる土台になります。お子さんの「知りたい!」にていねいに付き合うことで、ことばの世界はぐんと広がっていきます。


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教えてくれたのは

寺田奈々 言語聴覚士

寺田奈々 言語聴覚士
慶應義塾大学文学部卒。養成課程で言語聴覚士免許を取得。総合病院、耳鼻科クリニック、専門学校、区立障害者福祉センターなどに勤務ののち独立し「ことばの相談室ことり」を設立。現在、東京都台東区と熊本市中央区に店舗を構える。年間100症例以上のことばの相談・支援に携わる。臨床のかたわら、「おうち療育」を合言葉に「コトリドリル」シリーズを製作・販売。専門は、子どものことばの発達全般、吃音、発音指導、学習面のサポート、大人の発音矯正。著書に、『0~4歳 ことばをひきだす親子あそび』(小学館)、『発達障害&グレーゾーン幼児のことばを引き出す遊び53』(誠文堂新光社)がある。


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