サウジアラビアの難聴調査:年齢・騒音・遺伝が主要リスク因子

サウジアラビアの難聴調査:年齢・騒音・遺伝が主要リスク因子

2025年12月1日

サウジアラビアにおける難聴の頻度とリスク因子を調査した横断研究により、年齢、騒音曝露、遺伝的要因が難聴の主要な素因であることが明らかになった。この研究では、回答者の6.6%が難聴を報告し、51~60歳の年齢層で17.2%、71~80歳の年齢層では25%と年齢が上がるにつれて有意に増加していた。また、難聴の主な原因として34.6%が遺伝を、26.9%が騒音を挙げていた。この研究成果は、Cureus誌2025年10月号に発表された。


ウェブベースの質問票を用いた横断研究

本研究は、サウジアラビアにおける難聴の地域特異的データの不足を背景に実施された記述的横断研究である。研究チームはGoogle Formsを使用してウェブベースの自己記入式質問票を作成し、データ収集を行った。収集されたデータはIBM SPSS Statistics for Windows(バージョン24、2016年リリース)を用いて分析された。調査では合計789人から回答を得ており、そのうち東部地域からの回答が62.4%を占めていた。回答者の職業構成は41.2%が就業者、31.7%が学生であった。難聴を報告した人のうち36.5%が5年以上の罹患期間を報告していたにもかかわらず、治療を受けたのはわずか21.2%にとどまっていた。また、回答者の19.2%が糖尿病を報告し、51.9%に難聴の家族歴があった。


年齢と騒音曝露が難聴の有意なリスク因子


調査結果から、難聴の発生率は全体で6.6%であり、性別による有意差は認められなかった(男性6.8%、女性6.4%、p = 0.838)。しかし、年齢は難聴の有意なリスク因子であることが示された(p < 0.001)。特に51~60歳の年齢層では17.2%、71~80歳の年齢層では25%と高い発生率を示し、年齢の上昇に伴い難聴のリスクが増加する傾向が認められた(オッズ比 = 1.43、95%信頼区間: 0.78-2.81、p = 0.032)。難聴の主な原因として、回答者の34.6%が遺伝を挙げ、次いで騒音が26.9%、感染症・脳卒中・発熱が合わせて19.2%であった。また、統計分析により騒音への曝露(p = 0.048)と薬剤使用(p = 0.017)が難聴と有意に関連していることが明らかになった。一方、航空機や船舶での移動(7.7%)は有意な関連を示さなかった(p = 0.628)。


早期発見と予防戦略の重要性


本研究は、サウジアラビアにおける難聴の主要なリスク因子として年齢、騒音曝露、遺伝的要因を特定した。特に注目すべきは、難聴を報告した人の多くが長期間(5年以上)罹患しているにもかかわらず、治療を受けた割合が低いことである。これは難聴に対する認識や医療アクセスの課題を示唆している。研究者らは、サンプルサイズが比較的小さいという研究の限界を認めつつも、今後の大規模なコホート多施設研究や実際の臨床データを用いた調査の必要性を強調している。難聴は生活の質に大きな影響を与える公衆衛生上の重要な問題であり、本研究の知見は、特に高リスク群を対象とした早期発見プログラムや予防戦略の開発に貢献する可能性がある。また、難聴の家族歴がある人々への遺伝カウンセリングや、職場や日常生活における騒音曝露の軽減策の重要性も示唆している。


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