A woman putting in ear plugs

予防神経科医が明かす、認知症のリスクを高める2つの「隠れ要因」

Julia Pugachevsky[シニア・ヘルスケア・レポーター][原文](編集・シラクマ)
Sep 25, 2026, 5:00 PM 

A woman putting in ear plugs

予防神経科医によると、難聴は認知症リスクの上昇と関連している。
Siarhei Khaletski/Getty Images

  • 予防神経科医によると、視力低下と難聴は、認知機能が低下するリスクを高める要因(リスク因子)だ。
  • 視力や聴力の低下によって脳への刺激が減り、脳の活動も低下するのではないかと考える研究者もいる。
  • サングラスをかけたり、コンサートで耳栓を使ったりすることは、視力や聴力の低下を防ぐのに大きく役立つ。

認知症やアルツハイマー病になるリスクを少しでも減らしたいなら、目や耳の健康を見直すことが、その手がかりになるかもしれない。

ワイル・コーネル医科大学で神経学の助教授を務める、予防神経科医のケリーアン・ニオティス(Kellyann Niotis)博士によると、視力低下と難聴は、どちらも認知機能低下のリスク因子だ。

ニオティス博士は6月、製薬会社イーライリリーによる脳の健康への意識向上キャンペーン「Brain Health Matters」を推進するため、俳優のジュリアン・ムーアも参加したサロン形式の夕食会で、こう呼びかけた。

「この2つが脳の健康に関わる大きなリスク因子だとは、あまり意識されていません。年に1回の検診を受けていないなら、どうか必ず受けてください」

アルツハイマー病などを専門とするニオティス博士は、年齢を重ねるにつれ、視力や聴力の低下といったリスク因子をもっと真剣に受け止めてほしいと考えている。

医学誌『ランセット』に掲載された2024年の報告書では、視力低下や難聴などのリスク因子に対処することで、世界の認知症発症例の半数近くを予防できる可能性があると示された。

目や耳の健康は、なぜ脳の健康と深く関わっているのか。ニオティス博士に、その理由として考えられていることや、注意したい目と耳の変化について聞いた。

 

視力や聴力の低下は、なぜ認知機能と関係するのか

Senior man alone

感覚機能の低下が社会的孤立につながり、認知機能低下のリスクを高めると考える研究者もいる。
Milamai/Getty Images


視力や聴力の低下が、認知症などの神経変性疾患と関連する理由は、まだ完全には解明されていない。ニオティス博士によると、現時点ではいくつかの仮説があるという。


その一つが、目や耳から脳に届く刺激が減るという考え方だ。脳の健康を保つには、パズルを解いたり、新しい言語を学んだり、楽器を演奏したりして、脳に刺激を与えることが重要だという。

視力や聴力が低下すると、脳の一部が刺激を受けにくくなる可能性がある。ニオティス博士は視力を例に、こう説明する。

「視力を失うと、視覚に関わる脳の領域に、必要な感覚刺激が届かなくなるのではないかという考え方があります」

もう一つは、視力や聴力の低下によって、脳の健康に役立つほかの習慣にも影響が及ぶという仮説だ。

「目がよく見えなくなると、人との交流が減ったり、社会的に孤立しやすくなったりするのではないでしょうか。運動など、脳を活発に保つ活動にも参加しようと思わなくなるかもしれません」

 

光の周りに輪が見える、聞こえにくさを指摘される。注意したいサイン

視力や聴力の低下には、注意したいサインがいくつかある。

例えば、高齢者に多い白内障は、ものがはっきり見えにくくなる病気だ。ニオティス博士によると、視力の低下が日常生活に大きな支障をきたすほどなら、脳の健康にも影響する可能性がある。視覚から脳に届く刺激が弱まることや、人との交流の仕方が変わることなどが関係していると考えられるという。

視神経が傷つく病気である緑内障の兆候や、色の見え方が変わる、運転中などに光の周りに輪が見える、文字が紙面の上で飛び跳ねるように見えるといった変化があれば、眼科で検査を受けることを検討してほしいとニオティス博士は話す。

こうした症状は、それ自体が認知症や認知機能低下を直接示すものではなく、必ずしも認知症のリスクに影響するわけでもない。ただし、放置すれば将来的にリスク因子となる可能性があるという。

一方、聴力の低下は、視力の低下よりも本人が気づきにくい。

「周りの人が先に気づくことが多いんです」とニオティス博士は話す。友人や家族から急に聞こえにくさを指摘されるようになったら、聴力検査を先延ばしにしないことが大切だという。

「私が見てきた限り、多くの人は視力の低下ほどには、自分の聴力が落ちていることを自覚できません」

そのため、難聴の兆候は見過ごされやすいのだ。

 

目と耳を守るために、日常生活でできること

Woman in sunglasses

紫外線を防ぐサングラスは、将来の視力低下につながる有害な紫外線から目を守ってくれる。
Goodboy Picture Company/Getty Images


幸い、視力や聴力を守るために、日常生活でできることもある。

ニオティス博士によると、難聴を引き起こす原因のなかでも、大きな音にさらされることは、自分で防げるものの一つだ。

コンサートでは耳栓を使う、大きな音が出る機械を扱う際には適切な耳の保護具を着けるなど、騒音から耳を守る対策が非常に重要だという。

視力については、サングラスをかけたり、目に直接日光が当たる時間を減らしたりすることで、白内障やその他の目の損傷につながる紫外線から目を守れるという。

また、画面を長時間見ることが視力の恒久的な低下につながると示した研究はないものの、スマートフォンやパソコンの画面を見続ける人は、適度に休憩を取るとよいという。

「スマートフォンなどの画面をずっと見ていると、目を内側に寄せて、近くのものを見つめるという動作ばかりを繰り返すことになります」

こうした状態が、一時的な目の疲れや、将来的な近視につながる可能性があるという。

ニオティス博士が勧めるのは、画面から離れて散歩に出ることだ。散歩は、それ自体が脳の健康に役立つ習慣でもある。

 

記事のポイント! 

視力低下や難聴が認知機能とどう関係するのか、専門医が考えられている仮説とともに解説します。聴力の低下は本人より周囲が先に気づくこともあり、家族や友人から聞こえにくさを指摘されたときは聴力検査を受けることが大切です。コンサートで耳栓を使うなど、日常でできる耳の守り方も紹介しています。

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原文掲載元はこちら 

 https://www.businessinsider.jp/article/2609-dementia-risks-people-always-miss-preventive-neurologist/

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