地震発生から約44分後に津波第一波… 目や耳に障害のある生徒の安全な避難を考える 津波の浸水想定区域内にある青森県八戸市の盲学校・聾学校【阪神・淡路大震災から30年】

地震発生から約44分後に津波第一波… 目や耳に障害のある生徒の安全な避難を考える 津波の浸水想定区域内にある青森県八戸市の盲学校・聾学校【阪神・淡路大震災から30年】

防災対策

青森テレビ
2025年1月17日(金) 21:40


阪神・淡路大震災から17日で30年です。亡くなったのは6000人以上、住宅被害は64万棟にのぼり、未曾有の災害として様々な教訓が残されています。

盲学校・聾学校の避難訓練


その後、青森県内では東日本大震災なども踏まえて防災対策が強化されています。なかでも、目や耳に障害がある人には事前に徹底した準備が必要となります。津波の浸水想定区域内にある八戸市の盲学校・聾学校を取材しました。


「危ない!ここの段差!」初訓練で見えた避難経路の危険

津波対策の訓練


県立八戸盲学校・聾学校では1月9日、津波対策として初めての訓練を実施しました。学校から津波の避難場所まで、教職員が実際に歩いての経路の確認です。


車椅子で経路を確認する様子


「危ない!ここの段差!(盲学校の生徒を想定して)アイマスクをしていたら、よりリアル」

車椅子で経路を確認する様子


学校には目や耳に障害がある生徒が30人。このうち、小学生と中学生の8人は校舎に隣接する寄宿舎に泊まっていて、これまでは、この生徒たち向けの避難訓練を学校周辺だけで行っていました。

 

寄宿舎を利用する小中学生の訓練
寄宿舎を利用する小中学生の訓練


このため、今回は防災士の島田知子さんから津波が迫る中で避難した時に、危険な場所がどこにあるのかを指導してもらいました。

防災士 島田知子さん


地震発生から約44分後に津波第一波が到達 安全な避難のため必要な配慮


危険な場所を確認


防災士 島田知子さん
「(津波到達時は)側溝があるので、水が溢れて水溜りになります」

こちらは、県がつくった津波のシミュレーション動画。想定しているのは太平洋側で発生する恐れがある最大規模の地震です。八戸市では最大26.1mの津波が押し寄せ、街中も広い範囲が浸水するとされています。

 

津波は見えたらすぐにやってくる
津波の推移は急に上昇する


八戸盲学校・聾学校は、地震発生から約44分後に第一波が到達し、最大で6.5mの浸水が想定されていました。このため、生徒たちは、学校から1.4キロほど離れた八戸東高校へ歩いて避難します。

第一波到着は地震発生44分後

避難経路

車いすを使わなければいけない生徒も1人いて、避難する時には特別な配慮が必要となります。


スムーズな誘導のための確認項目

スムーズな誘導のための確認項目


訓練の様子
「段差のところ。これはめっちゃ怖い」
Q.怖いですか?
「やばいです」

防災士 島田知子さん
「この交差点は、すごく渡りづらい。デコボコがある」
歩道から交差点にかけてのちょっとした傾斜や段差にも危険はひそんでいます。

この交差点は、すごく渡りづらい。デコボコがある


車いすで避難した教員は

「視点がいつもより低かったので、車が近く感じたり、揺れを感じて怖い。『道路の先に段差があるよ』とか『この先車が通っているよ』『信号があるよ』と事前に伝えながら、子どもたちに「大丈夫だよ」と安心させる言葉をかけながら避難所まで誘導したい」

車いすで避難した教員


目が見えない生徒をスムーズに誘導するためには、ぶつかってけがをしそうな電柱や看板はどこにあるのか。さらには、地震で壊れる恐れがある建物がないかや、交差点の交通量まで確認しなければいけない項目はたくさんあります。


不安が尽きない教職員 徹底した準備

車の渋滞が起きる可能性も


防災士 島田知子さん
「もしかしたら信号が停電した時に、車の渋滞が起きるかも。少し大きな交差点なので、車の渋滞が起きる可能性もあります」

八戸盲学校・聾学校 寄宿舎 角谷俊輔 指導員
「もしかしたら多少遠回りでも安全で車が少ないことが想定できると思うので、きょう歩いた最短ルートにとらわれることなく、違うルートを見出して、(避難所の)八戸東高校方面へ逃げられるよう勉強をしなければいけない」

八戸盲学校・聾学校 寄宿舎 角谷俊輔 指導員


ほかにも、耳が聞こえない生徒だからこその配慮も必要です。
例えば寄宿舎で寝ている時に災害が発生した場合、防災無線のサイレンの音が聞こえないため、1人1人起こさなければなりません。


様々な事態を想定しながら準備をしていますが、それでもなお、教職員には不安が尽きないといいます。

不安が尽きない


八戸盲学校・聾学校 寄宿舎 角谷俊輔 指導員

「きょうは寒かったが、天気は良かったのでなんとかなる。これが吹雪いていたり、足元が悪かった時に、子どもたちが多くて、大人が少ないことを考えたときにいろんな気遣いや心遣いをしないと、安全面に配慮が足りなくなるのかと思うと不安というか怖いと改めて思いました」

徹底した準備


津波が海から押し寄せてきた時に、はやる気持ちを抑えて事故なく避難するためには、徹底した準備をして、それを関係者が共有するしか手だてはありません。


リンク先はTBS NEWS DIGというサイトの記事になります。


 

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