埼玉・川越で手話カフェ 聴覚障害の生徒が接客 聴力低下の埼玉りそな行員が企画

埼玉・川越で手話カフェ 聴覚障害の生徒が接客 聴力低下の埼玉りそな行員が企画

2025/08/20 05:00

レジ対応の後、手話で「ありがとう」と伝える外川さん(右)(いずれも9日、川越市で)

レジ対応の後、手話で「ありがとう」と伝える外川さん(右)(いずれも9日、川越市で)


 聴覚障害のある高校生が接客業を体験する「手話カフェ」が8月の3日間、埼玉県川越市幸町の「りそなコエドテラス」に出店している。県立坂戸ろう学園(坂戸市)の高校生5人が店員を務める。自身も聴覚障害を持つ埼玉りそな銀行の行員が就労体験の場を増やそうと企画した。(住友千花)


 9日昼、20席ほどの店内は満席だった。研修として参加した同行の行員と高校生ら合わせて13人が店員を務める。多くが帽子をかぶり、緑の帽子は「聞こえない」、オレンジなら「聞こえる」のサインだ。

 店内には「ケーキ」や「コーヒー」などを表す手話を示すイラストを掲示。来店客は手話やメニューを指さして注文する。動画サイトで手話を確認しながら、店員と「会話」を楽しむ客もいた。

 同学園に通う高校3年の外川秀明さん(17)は学校の実習として参加。「将来はお客さんと接する仕事に就きたい。飲み物を手渡すとき、自分が通う学校についてお客さんに手話で伝えることができた」とうれしそうだった。

 カフェは、コエドテラス1階の共有スペースを借りて出店。昨年8月も3日間、同所で開店し、今年8月で2年目の試みだ。同行サービス改革室の水内裕美さんが企画した。

 水内さんは3歳の時の高熱で聴力が落ちた。周囲の話に加われず、みんなが笑えば、分からなくても自分も笑った。「聞こえる人も聞こえない人もコミュニケーションできる場がほしい」と考えてきたという。地域課題の解決を目指して2021年度に実施された社内のビジネスコンテストに手話カフェを提案し、入賞した。

 聴覚障害のある人の就労状況などを調査。金融教育の出前授業でつきあいがあった同学園に、生徒の実習先として協力を依頼した。障害者就労に取り組む一般社団法人「Ciel(シエル)」(川越市)にカフェの運営を提案し、実現にこぎ着けた。

 

 カフェには、手話を使う機会を求めて訪れる人も多い。学校で手話を使って絵本の読み聞かせをしているという川越市の小学3年、井桁 咲音さきね さん(9)は「早くて手話を読み取るのが難しかったが、楽しかった。飲み物を受け取って『ありがとう』と伝えられた」と満足そうだった。

 「日常的に手話を使う機会を作りたい」と考えている水内さん。今後は同学園の生徒以外にも実習を受け入れるなど、手話カフェの開店日を増やしていきたいという。

 最終日となる次回は、23日午前10時~午後4時に開店する。


リンク先は讀賣新聞オンラインというサイトの記事になります。


 

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