「ろう者の院生がいます。ノック音が聞こえません。代わりに照明を点滅させてください」
京都大(京都市)にある一室のドアにはこんな張り紙があった。
生まれつき耳が聞こえない大学院生、松尾香奈さん(25)が在籍する。
自席には「声で呼ばない・肩をたたく」と書いてある。
手話通訳を介して、「ろう者とのコミュニケーションを多くの人に知ってほしいと考えています」と教えてくれた。
学校や家庭での会話についていけず
松尾さんは神奈川県出身で、聴者の両親、弟に囲まれて育った。
家族の中で耳が聞こえないのは松尾さんだけ。
相手の唇の動きを読み取り声を出す「口話」を学び、コミュニケーションを取った。
だが、聴者同士の会話をすべては理解できず、「雰囲気を感じ取るぐらい」だったという。
地元の小中学校に通ったが、授業はあまり理解できず、教科書を読んで自習した。
家でも学校でも口数は少なく寡黙だった。
「周囲の会話についていけず面白くありませんでした」と振り返る。
手話との出合い
幼稚園の時、たまたま親と手を使ってコミュニケーションを取っている子どもを見て手話の存在を知った。
「羨ましい。私も覚えたい」と思った。
小学生時代、近所に手話を使う親子がいると知り、放課後に通うようになった。
高齢のろう者の男性と聴者の娘がやりとりするのを見て、「日本手話」を学んだ。
学校での出来事を伝えたり、これまで胸の奥にしまっていた感情を表現できたりするようになった。
「授業が分からなかったとか、友達とのエピソードとか、自分の経験を誰かと共有することができてうれしかった」
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