映画「美晴に傘を」で日高麻鈴の全身全霊の演技に注目

映画「美晴に傘を」で日高麻鈴の全身全霊の演技に注目

2025年2月9日20時30分

映画監督谷健二氏が描いた日高麻鈴の似顔絵

映画監督谷健二氏が描いた日高麻鈴の似顔絵 


映画館で映画を見る。先日UUUMと東京彼女が主催するTSDグランプリなるコンテストの2次選考があり、その会場でとある映画プロデューサーと出会った。

たまたま隣の席になったのだが、若い子が多い中、同年代だったこともありすぐに意気投合した。そこで1枚のフライヤーをもらう

現在公開中の映画「美晴に傘を」。漁師の善次(升毅)はけんか別れしてから息子(光雄)と一度も会っていない。その息子ががんで亡くなり、そこに光雄の妻・透子(田中美里)が娘2人と尋ねてくる。息子に会わなかったことを後悔する善次と、聴覚過敏を持つ自閉症である長女を必死に守ろうとする透子。北海道の舞台にゆっくりと物語は展開していく。

難しいテーマながら、短編映画で結果を残してきた監督・渋谷悠の演出は的確で、また俳優陣も皆すばらしい。とくにラストの展開が秀逸で、映画の世界にグッと引き込まれた。上映後、劇場内ではすすり泣く声も聞こえた。監督やプロデューサーが紡いだ作品がこうして公開され、見知らぬ人たちと映画館でその世界観に浸る。これぞ映画の醍醐味(だいごみ)だと改めて思った。すてきな物語をありがとう、と大川プロデューサーにこの場を借りて言いたい。

そこで、今回紹介したいのは長女・美晴を演じた日高麻鈴(ひだかまりん)。先日紹介した監督作品「追想ジャーニー リエナクト」に出演している新谷ゆづみと同じくさくら学院出身。共に、映画監督の塩田明彦に見いだされ、俳優として本格活動。アイドルから俳優への転身、昔はアイドル俳優みたいな言い方もあったが、最近は本当にレベルが高い。

というのもそもそもアイドルの母数が多いことから、グループであれば何人か俳優に向いている子が必ずいる。あとはそもそも人気があり集客も見込めるので、実戦の場で演技ができるチャンスが必然と増える。もちろんお客さんの前でパフォーマンスすることに変わりはないので、表現力などプラスになる要素も多い。今後もっと増えていくではないかと思う。

彼女は今回、聴覚過敏を持つ自閉症の役であったが、うまく演じたとかの次元ではなく、全身全霊役で挑んでいた印象を受けた。今後、他の作品で彼女を見ると困惑してしまうのではないかと思うほど、美晴が完全に憑依(ひょうい)していた。そして映画俳優として、スクリーンの中に十分すぎる存在感で佇んでいた。今後、すごい俳優になるんだと思う。それほどまでに素晴らしい彼女の姿をぜひ、映画館で味わってほしい。(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画監督・谷健二の俳優研究所」)

◆谷健二(たに・けんじ)1976年(昭51)、京都府出身。大学でデザインを専攻後、映画の世界を夢見て上京。多数の自主映画に携わる。その後、広告代理店に勤め、約9年間自動車会社のウェブマーケティングを担当。14年に映画「リュウセイ」の監督を機にフリーとなる。映画以外にもCMやドラマ、舞台演出に映画本の出版など多岐にわたって活動中。また、カレー好きが高じて南青山でカレー&バーも経営している。最近では映画「その恋、自販機で買えますか?」「映画 政見放送」24年10月には映画「追想ジャーニー リエナクト」が公開。


リンク先は日刊スポーツというサイトの記事になります。


 


 

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